「リワークを調べてみたけど、種類がいくつもあって、どれが自分に合うのか分からない」。そんなふうに感じている方は少なくありません。
リワークとは「Return to Work」の略で、うつ病や適応反応症(適応障害)などメンタルヘルスの不調で休職している方が、職場復帰に向けたリハビリテーションを行うプログラムのことです。復職支援プログラム、職場復帰支援プログラムとも呼ばれています。
リワークにはいくつかの種類があり、運営する機関によって目的や内容、費用が異なります。「自分の状態にはどの種類が合うのだろう?」と迷うのは、とても自然なことです。
この記事では、リワークの主な種類をわかりやすく紹介しながら、それぞれの特徴や選ぶときのポイントをお伝えします。復職や再就職に向けて一歩を踏み出すための参考にしていただければ幸いです。
リワークって、そもそもなぜ大切なの?
復職を考えるとき、「もう体調は良くなったし、そのまま戻れるのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日常生活が送れるようになることと、職場で安定して働き続けられることの間には、大きなギャップがあります。
日本うつ病リワーク協会の研究(※)によると、リワークプログラムを利用した方は、復職後1年間の就労継続率が約83%であったと報告されています。一方で、リワークを利用せずに復職した方は、再休職のリスクが約2.3倍高くなるというデータも示されています。
※ リワークプログラム利用者の復職後1年間の就労継続性に関する大規模調査(PDF)
https://utsu-rework.org/cms/wp-content/themes/the-thor-child/img/pdf/2019_006.pdf
つまり、リワークは「ただ復職するため」ではなく、「復職したあとも安定して働き続けるため」に活用するものなのです。休職に至った原因や自分自身のストレスへの対処パターンを見つめ直し、再発を防ぐ力を身につけることが、リワークの大きな目的といえます。
リワークの4つの種類と、それぞれの特徴
リワークは大きく分けて4つの種類があります。
- 福祉リワーク
- 医療リワーク
- 職リハリワーク
- 職場リワーク
ひとつずつ、特徴を見ていきましょう。
「福祉リワーク」は復職だけでなく再就職にも対応
福祉リワークは、就労移行支援事業所や自立訓練(生活訓練)事業所などの福祉施設で行われるリワークプログラムです。
福祉リワークの大きな特徴は、現在の職場への復帰だけでなく、転職や再就職を視野に入れた支援も受けられることです。「今の職場に戻るか、新しい環境を探すか迷っている」という方にとっては、選択肢を広げながらじっくり考えられる場になります。
障害福祉サービスの枠組みで運営されているため、利用料は原則1割負担です。所得に応じた月額上限が設けられており、条件によっては自己負担が0円になる場合もあります。利用期間は、在籍する企業が定める休職期間に応じ、最大2年間までです。
また、復職後のフォローアップ(定着支援)が充実しているのも福祉リワークの強みです。復職や就職をした後も一定期間、本人だけでなく雇用主へのサポートも行われるため、安心して新しいスタートを切ることができます。
なお、当センター「ここケアセンター」は、この福祉リワークに該当する施設です。認知行動療法を中心とした科学的根拠に基づくプログラムを、公認心理師が提供しています。復職だけでなく再就職を目指す方にもご利用いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。
「医療リワーク」は治療と復職準備を同時に進められる
医療リワークは、精神科や心療内科などの医療機関で実施されるプログラムです。
医療リワークの大きなメリットは、病状の回復と再発予防を軸にプログラムが構成されている点です。症状がまだ十分に安定していない時期からでも、医療スタッフのフォローを受けながら段階的にリハビリを進められます。
費用面では、健康保険制度が適用されます。さらに、自立支援医療制度を利用すると自己負担が1割まで軽減されるため、費用を抑えて利用できるケースがほとんどです。参加期間は施設によって異なりますが、平均すると3か月から7か月ほどが目安とされています。
ただし、リワークプログラムを実施している医療機関は限られているため、場合によっては通院先や主治医を変更する必要が出てくることもあります。利用を検討する際は、まず主治医に相談してみるとよいでしょう。
「職リハリワーク」は無料で利用できる公的な支援
職リハリワーク(職場復帰支援)は、高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する地域障害者職業センターで実施されるプログラムです。各都道府県に1か所以上設置されています。
職リハリワークでは、センターの職業カウンセラーが、休職者本人と雇用主、主治医の三者をコーディネートしながら、12週から16週ほどの職業リハビリテーションを行います。
福祉リワークや医療リワークとの大きな違いは、治療ではなく「職場への適応」が主な目的であるという点です。復職先の職場環境に合わせた準備を進めたり、雇用主に対してもアドバイスや支援を行ったりと、職場との橋渡し的な役割を担ってくれます。
費用が無料で利用できるのも、大きな魅力のひとつです。ただし、公務員の方は利用できないという制限があります。また、各都道府県に1か所程度しかないため、地域によっては通所が難しかったり、利用開始までに数か月待つケースもあります。
「職場リワーク」は企業が独自に行う復職支援
職場リワークとは、企業が社内で独自に実施する復職支援プログラムのことです。
厚生労働省が公表した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、事業場に対して休職の開始から通常業務への復帰までの流れを策定するよう求めています。この手引きに沿って、試し出勤やリハビリ出勤の制度を整えている企業もあります。
職場リワークの目的は、復職支援に加えて「安定して働き続けられるかどうかを見極めること」でもあります。実際の職場環境で段階的にリハビリを行えるため、他のリワークよりも復職時のギャップが少なく感じられることがメリットです。
一方で、職場リワークを導入している企業はまだ一部に限られています。自分の会社にこうした制度があるか分からない場合は、人事部門や産業医に確認してみることをおすすめします。
4つのリワークを比べてみよう
ここまで紹介した4種類のリワークの違いを整理してみましょう。
目的の違い
福祉リワークは「復職と再就職のどちらにも対応」でき、医療リワークは「病状の回復と再発予防」を重視し、治療的な要素が強いのが特徴です。職リハリワークは「職場への適応」に焦点を当てています。職場リワークは「復職後の安定した就労の見極め」に力を入れています。
費用と期間の違い
福祉リワークは障害福祉サービスとして原則1割負担で、所得に応じた上限額があり、条件によっては無料になります。利用期間は在籍する企業が定める休職期間に応じ、最大2年間までです。医療リワークは健康保険が適用され、自立支援医療制度を使えば1割負担です。参加期間は平均3か月から7か月ほどが目安です。職リハリワークは無料で利用でき、期間は12週から16週が目安です。職場リワークは休職中の扱いで企業が費用を負担するのが一般的です。期間は企業によって異なります。
スタッフ体制の違い
福祉リワークには支援員や心理師が在籍しており、施設によって体制は異なります。医療リワークには医師や看護師、心理師など医療専門職がそろっています。職リハリワークには職業カウンセラーが配置されています。職場リワークの場合は、産業医やEAP(従業員支援プログラム)の専門スタッフが関わることもあります。
どれを選べばいい? 自分に合ったリワークを見つけるヒント
「種類は分かったけれど、結局どれを選べばいいの?」と迷う方も多いと思います。以下のポイントを参考にしてみてください。
まず大切なのは、今の自分の状態を振り返ることです。「今の仕事に戻るか、新しい道を探すか、まだ決められない」という方には、福祉リワークがおすすめです。復職と再就職の両方を視野に入れながら、自分自身の特性や働き方について見つめ直す時間を持てます。
症状がまだ不安定で、治療をしっかり受けながら復職準備を進めたい場合は、医療リワークが向いています。症状がある程度落ち着いていて、職場との調整をしながら復帰の準備をしたい場合は、職リハリワークが選択肢になるでしょう。
まずは一歩、相談することから
リワークの種類や特徴について知ると、「自分にもできるかもしれない」と思える一方で、「本当に通えるだろうか」「人と接するのが不安」と感じることもあるかもしれません。
そうした不安は、決して珍しいことではありません。リワークに通う多くの方が、最初は同じような気持ちを抱えています。大切なのは、一人で抱え込まずに、まず専門家に相談してみることです。
ここケアセンターでは、初回のカウンセリングを無料で受けていただけます。公認心理師が、あなたの今の状態やこれまでの経験を丁寧にお聴きしながら、どのような支援が合っているのかを一緒に考えます。「まだリワークに通うか決められない」「自分のことをうまく話せるか不安」という段階でも、まったく問題ありません。
安定した生活リズムを取り戻し、自分の特性に合った環境で長く働き続けること。その目標に向けて、私たちが一緒に歩んでいきます。お気軽にお問い合わせください。
引用元・参考文献
- リワークプログラムとは|一般社団法人 日本うつ病リワーク協会
https://utsu-rework.org/rework/ - リワーク関連情報/資料|一般社団法人 日本うつ病リワーク協会
https://utsu-rework.org/info/ - 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00005.html


