休職してからしばらく経ち、少しずつ体調が落ち着いてきた。でも、職場に戻ることを考えると、なんとなく不安になる。そんな気持ちを抱えている方は、決して少なくありません。
仕事を離れている時間が長くなるほど、復帰への焦りや将来への不安は大きくなりがちです。
でも、安心してください。休職からの復帰は、正しいステップを踏めば十分に実現できます。大切なのは、焦らず、自分のペースで準備を進めていくことです。
この記事では、休職から職場復帰を目指す方に向けて、復帰までの具体的なステップと、復帰後も安定して働き続けるためのポイントをお伝えします。
復帰を考え始めたあなたへ
「焦り」は回復を遠ざけてしまうことも
休職中、多くの方が「周りに迷惑をかけている」「早く復帰しなければ」という焦りを感じます。その気持ちはとても自然なものです。
しかし、この焦りが回復の妨げになることがあります。厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルスに関する情報サイト「こころの耳」でも、「職場復帰をあせらないこと」の重要性が強調されています。心の不調は、体の傷と同じように、しっかり回復する時間が必要なのです。
「もう働ける」と感じても、主治医の意見に耳を傾け、ご家族など身近な方の意見も参考にしながら、ゆとりのある復帰を目指しましょう。
「戻る」か「新しい道を探す」か、今すぐ決めなくて大丈夫
休職中に「今の職場に戻るべきか、それとも別の道を探すべきか」と悩む方も多いと思います。
この判断は、休職に至った原因や、職場環境の改善可能性、そしてあなた自身の希望によって変わってきます。まずは心身の回復を優先し、ある程度状態が安定してから、冷静に考えることをおすすめします。
心理師に相談しながら、自分の特性や価値観を整理していくことで、より納得のいく選択ができるようになります。
あなたのペースで進める「復職準備5ステップ」
復職に向けた準備は、一足飛びにはいきません。段階を踏んで、着実に進めていきましょう。
ステップ1 まずは「朝起きる」から始めよう
復職準備の第一歩は、生活リズムを整えることです。休職中は、起床時間や就寝時間が不規則になりがちです。しかし、仕事に戻るためには、決まった時間に起きて活動するという基本的な生活習慣が欠かせません。
まずは毎朝同じ時間に起きることから始めてみましょう。最初から完璧を目指す必要はありません。少しずつ、仕事をしていたときの生活リズムに近づけていくことが大切です。
具体的には、以下のようなことを意識してみてください。
- 毎朝決まった時間に起床する
- 日中は外出するなど体を動かす時間を作る
- 夜は決まった時間に布団に入る
- 睡眠の質を意識して、寝る前のスマートフォン使用を控える
ステップ2 「自分の取扱説明書」を作る
休職に至った背景には、仕事の量や人間関係のストレスだけでなく、ご自身の考え方のクセや特性が関係していることも少なくありません。
復職後に同じことを繰り返さないためには、「どんな状況で調子を崩しやすいか」「自分はどんな働き方が合っているか」を理解しておくことが役立ちます。
自己理解を深める方法としては、日々の気分や体調を記録する「セルフモニタリング」や、心理師との対話を通じて自分の考え方のパターンに気づく「認知行動療法」などがあります。
一人で考え込むよりも、専門家と一緒に振り返るほうが、より客観的に自分を見つめることができます。
ステップ3 専門家の力を借りる
復職の準備を進める上で、主治医や心理師などの専門家との連携はとても重要です。
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも、主治医との連携の重要性が示されています。復職の可否は、日常生活ができるようになっただけでなく、職場で求められる業務をこなせる状態まで回復しているかどうかで判断する必要があるからです。
主治医には、復職後に予定している業務の内容を伝え、復職して大丈夫かどうか、復職後に配慮すべき点はないかなどを確認しましょう。
また、リワーク支援を行う事業所や心理支援を提供する機関を活用することで、より専門的なサポートを受けながら復職準備を進めることができます。
ステップ4 「通勤の練習」で自信をつける
生活リズムが整い、体調も安定してきたら、少しずつ活動量を増やしていきましょう。
最初は近所を散歩する程度から始めて、徐々に外出時間や活動の範囲を広げていきます。図書館に通って集中して本を読む、通勤と同じ時間帯に電車に乗ってみるなど、仕事を想定した活動を取り入れていくのも効果的です。
リワークプログラムでは、決まった時間に施設へ通うことで通勤の訓練になりますし、作業課題を通じて集中力や持続力を高めることもできます。当センターでは、職業能力の開発や集中力維持、プロジェクトの遂行やプレゼン発表といった、仕事につながる課題を個々に設定しています。これまでの働き方を見直しながら、職場や医療機関との復帰調整も行っています。
ステップ5 職場と「無理のない復帰プラン」を作る
復職の準備が整ってきたら、職場との具体的な調整に入ります。
復職後すぐにフルタイムで以前と同じ業務量をこなすのは、体への負担が大きくなります。まずは短時間勤務から始める、業務量を調整してもらうなど、段階的に仕事に慣れていく方法を職場と相談しましょう。
職場によっては「試し出勤」という制度を設けているところもあります。これは、復職前に試験的に出勤して、実際に働けるかどうかを確認する仕組みです。
職場との調整が不安な場合は、主治医や産業医、リワーク支援機関のスタッフなどに間に入ってもらうことも可能です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用しましょう。
復職後も長く働き続けるために
「小さな変化」に気づく習慣が再発を防ぐ
復職はゴールではなく、新たなスタートです。復職後も安定して働き続けるためには、セルフケアの習慣を身につけておくことが大切です。
心の不調は再発しやすいと言われています。厚生労働省の「うつ対応マニュアル」(※)によると、うつ病の再発率は約60%にのぼるとされています。しかし、自分の調子の変化に早めに気づき、適切に対処することで、再発のリスクを下げることができます。
※厚生労働省 地域におけるうつ病対策検討会「うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-」(平成16年1月)
日々のセルフケアとして、以下のようなことを心がけてみてください。
- 睡眠や食事など、基本的な生活習慣を大切にする
- ストレスを感じたら、早めに休息をとる
- 調子が悪いと感じたら、無理をせず周囲に相談する
- 定期的に通院を続け、状態を確認してもらう
ただし、セルフケアだけに頼りすぎないことも大切です。調子の変化に気づいたら、早めに主治医や心理師に相談することをおすすめします。
困ったときの「駆け込み寺」を見つけておく
復職後に困ったことがあったとき、すぐに相談できる場所があると安心です。
主治医や産業医はもちろん、職場の上司や人事担当者、リワーク支援の専門スタッフなど、複数の相談先を持っておくことをおすすめします。「こんなことで相談していいのだろうか」と遠慮する必要はありません。小さなことでも早めに相談することが、大きな問題を防ぐことにつながります。
まとめ 一人で抱え込まず、一歩ずつ進んでいきましょう
休職からの復帰は、不安や焦りを感じやすい時期です。でも、正しいステップを踏んで準備を進めれば、必ず道は開けます。
大切なのは、焦らないこと、そして一人で抱え込まないこと。専門家のサポートを受けながら、自分のペースで進んでいきましょう。
ここケアセンターでは、公認心理師による認知行動療法を中心とした心理支援を提供しています。復職に向けた準備から、復職後の再発予防まで、一人ひとりに合わせたサポートを行っています。
「自分に合った職場で長く働きたい」「まずは自分のことを理解したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。初回カウンセリングは無料で受けられます。
引用元・参考文献
- 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00005.html - 職場復帰のガイダンス(働く方へ)|こころの耳(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker/ - うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5.html
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