適応反応症(Adjustment Disorders)とは、環境やライフスタイルの変化に自身が柔軟に適応できず、不安・抑うつなどの情緒的な症状や、不眠・倦怠感などの身体症状、遅刻・欠勤・過剰飲酒などの素行の問題が生じ、社会生活に大きな支障をきたしている状態で、DSM-5-TRでは心的外傷およびストレス因関連症群(Trauma-and Stressor-Related Disorders)のひとつとして分類されています。
うつ病との違い
適応反応症の症状はうつ病の症状と似ているところもありますが、はっきりとしたストレス因に曝されてから3ヵ月以内に症状が出現し、うつ状態の中でも楽しいことは楽しめたり、ストレス因から離れると、症状が回復に向かったりする点で、うつ病とは異なります。
うつ病ほど、薬の反応は良くはないため、適応反応症の改善には、環境調整や再発予防を含めた認知行動療法などの心理支援が非常に重要です。
適応反応症の改善
復職・再就職支援においても、ストレス因となった環境を変えたり、仕事量を減らしたりするだけの対応では、再び同じような環境に曝されたときに症状が再燃するリスクが高いため、認知行動療法では、柔軟で適応的な認知評価や対処方法を学ぶことで、個人的なストレス脆弱性や耐性を強化し、自分でストレスのマネジメントができるようになるための支援を行います。
職場環境になじみやすい働き方や関係のとり方を身につけることで、所属する社会や環境の中でうまく自分の居場所を見つけ、生き生きと働くことができるようになっていくことが、適応反応症の改善や予後にとって、とても大切です。