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うつ病のために休職になった人が「何もしてない…」休職中に不安になったらどうすればいいの?

うつ病のために休職になった人が「何もしてない…」休職中に不安になったらどうすればいいの?

「今日は何もできなかった」

「周りは働いているのに、自分だけ時間が止まっているように感じる」

「休んでいる時間が無駄になっている気がする」

休職中、このような気持ちになっていませんか。

当センターにも、休職中の方からこのようなご相談をいただくことがあります。

体調が少し落ち着いてきた頃ほど、「何もしていない自分」に焦りや不安を感じる方は少なくありません。

しかし、このような気持ちは決して珍しいものではありません。多くの方が回復の過程で経験する自然な心の反応です。うつ病になった最初のころは目を向けることができなかった自分の将来について、積極的に考えるようになったサインと見なすことができます。

今回は、休職中に「何もしていない」と不安になる理由や、その気持ちとの向き合い方について、公認心理師の視点からわかりやすくご紹介します。

休職中に多くの方が経験する不安

当センターにも、休職中の方から次のようなご相談をいただくことがあります。

  • 休んでいるだけで申し訳ない気持ちになる
  • 何も生産していない自分には価値がないように感じる
  • このまま社会に戻れなくなるのではないかと不安になる

このような気持ちは、休職中の多くの方が経験します。

特に、うつ病では、「自分には価値がない」「自分の将来は悪くなるだろう」といった、考え方の偏りが症状として現れることがあります。そのため、本来は休息が治療として必要な時期であっても、「休んでいる自分」を責めてしまうことがあります。

これはうつ病の症状の一つとしてみられることがあり、本人の性格や努力不足が原因ではありません。

本来は休息が回復のために必要な時期であっても、「休んでいる自分は怠けている」と感じ、罪悪感を抱いてしまうことがあります。

「休んでいることに申し訳なさを感じる」という経験は、決して珍しいものではありません。

休職中に「何もしていない」と不安になる理由

頭では「今は休むことが必要」と理解していても、不安が消えないことがあります。

その背景には、いくつかの心理的な要因があります。

仕事が自分の価値と結びついているから

仕事は、生活のために収入を得るだけでなく、「社会の中で役割を果たしている」という実感を得られる大切な場でもあります。

内閣府の調査でも、「お金を得るため」に次いで、「社会の一員として、務めを果たすため」に働くと回答された方の割合が10.7%となっています。

そのため、仕事から離れると、

  • 「自分の役割を失ってしまった」
  • 「社会に必要とされていないのではないか」

と感じやすくなることがあります。

特に、責任感が強い方や、一生懸命仕事に取り組んできた方ほど、このような思いを抱きやすい傾向があります。

回復すると考える余裕が戻ってくるから

休職したばかりの頃は、心や体の疲れが大きく、「何も考えられない」という状態の方も少なくありません。

その後、少しずつ回復してくると、将来について考える余裕が戻ってきます。

すると、

  • 仕事はどうなるだろう
  • 復職できるだろうか
  • 職場に迷惑をかけていないだろうか

といった不安が次々と浮かんでくることがあります。

「回復してきたはずなのに、急に不安が強くなった」と感じる方もいますが、それは考える力が戻ってきたからこそ起こる自然な反応でもあります。

「何もしないことは悪いこと」という考えがあるから

私たちは、知らず知らずのうちに、

  • 休んではいけない
  • 頑張っている人に価値がある
  • 何もしていない自分は駄目だ

という考え方を身につけていることがあります。

認知行動療法では、このような考え方のパターンを「認知の偏り」や「考え方のクセ」と呼ぶことがあります。

もちろん、努力することは大切です。しかし、「休むことは悪いこと」と考えてしまうと、回復に必要な休養まで罪悪感につながってしまいます。

体調が悪いときほど、このような考え方は強くなりやすいといわれています。

だからこそ、「今は休むことも回復のための大切な時間」と考え直してみることが大切です。

不安や焦りが「悪循環」を生んでしまうことも

休職中の回復は、一直線に進むわけではありません。

調子の良い日もあれば、思うように動けない日もあります。

また、少し元気になって活動できる日が増えてくると、「もっと頑張れるはず」「早く元の生活に戻らなければ」と焦る気持ちが出てくることがあります。

認知行動療法では、不安や焦りなどで気分が落ち込むと活動量が減り、達成感や楽しさを感じる機会が少なくなることで、さらに気分が落ち込みやすくなるという悪循環があると考えます。

この悪循環を改善する方法の一つが「行動活性化」です。

ただし、行動活性化は無理をして頑張ることではありません。

今の自分にできる小さな活動を、少しずつ増やし、達成感や楽しさにつないでいく方法です。

十分な休養が必要な時期に無理をすると、かえって症状が悪化したり、回復が長引いたりすることもあります。

焦りを感じたときほど、「今の自分に合った活動量なのか」を見直すことが大切です。

また、活動量を増やす際には、自分だけで判断するのではなく、主治医や心理師と相談しながら進めることで、安心して回復を目指しやすくなります。

休職中の不安を和らげるためにできること

不安が強くなると、「何とかしなければ」と焦ってしまうことがあります。しかし、回復を急ぐことが、かえって負担になってしまう場合もあります。

焦りを感じるときは、次のようなことを意識してみましょう。

「休むことも治療」と考えてみる

風邪をひいたときには、無理をせず横になって休むことが治療になります。

心の不調も同じように、十分な休息が回復につながる時期があります。

休職中は「何もしていない」のではなく、「回復のために必要な時間を過ごしている」と考えてみてください。

もちろん、すぐにそのように考えられない日があっても大丈夫です。

少しずつ、「休むことにも意味がある」と受け止められるようになることが、回復への一歩になる場合があります。

「何もできなかった」を「できたこと」に置き換えてみる

「今日は何もしていない」と考えると、自分を責める気持ちが強くなってしまいます。

そんなときは、一日の終わりに「今日できたこと」を振り返ってみましょう。

例えば、

  • 朝起きることができた
  • 朝ごはんを食べられた
  • 5分だけ散歩ができた
  • カーテンを開けて日光を浴びた
  • 家族と少し話ができた

このような小さなことでも、回復に向けた大切な一歩です。

認知行動療法では、物事の捉え方を見直す方法を「認知再構成」と呼びます。

自分を責める考えだけではなく、「できたこと」にも目を向けることで、少しずつ気持ちが楽になる方もいます。

生活リズムを整える

十分な休養は大切ですが、昼夜逆転など生活リズムの乱れが続くと、体調や気分に影響することがあります。

毎日完璧にできなくても構いませんので、次のようなことから始めてみましょう。

  • 朝はできるだけ同じ時間に起きる
  • 起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
  • 朝食を食べる習慣をつける
  • 夜更かしを続けないよう意識する
  • 無理のない範囲で散歩など軽い運動を取り入れる

生活リズムは、心と体の回復を支える土台になります。

小さな活動を少しずつ増やしていく

調子が良い日は、「今日のうちに遅れを取り戻そう」と頑張りすぎてしまうことがあります。

しかし、一度に活動量を増やしすぎると、翌日に疲れが出てしまうことも少なくありません。

例えば、

  • 5分だけ散歩する
  • 本を数ページ読む
  • 洗濯物をたたむ
  • 好きな音楽を聴く
  • 植物に水をあげる

このような無理のない活動を積み重ねることが、安定した回復につながります。

「今日はこれだけできた」と小さな達成感を積み重ねることを大切にしましょう。

一人で抱え込まない

休職中は、自分の考えだけで結論を出してしまい、不安が大きくなることがあります。

そんなときは、主治医や心理師、信頼できる家族などに気持ちを話してみてください。

話をすることで、自分では気づかなかった考え方に気づけたり、気持ちが整理されたりすることがあります。

セルフケアは回復を支える大切な方法ですが、無理に一人で乗り越えようとする必要はありません。

当センターでも、休職中の不安や焦りについて多くのご相談をいただいています。

心理師と一緒に気持ちを整理しながら、自分に合った回復のペースを考えていくことも大切です。

休職中は「立ち止まっている時間」ではなく「回復するための時間」です

休職中は、「何もしていない」と感じてしまう日があるかもしれません。

しかし、その時間は決して無駄ではありません。

回復は一直線ではなく、良い日もあれば、思うように動けない日もあります。

焦りや不安を感じることも、回復の過程では自然なことです。

だからこそ、不安を感じる自分を責めるのではなく、「今は回復の途中なんだ」と少し見方を変えてみることも大切です。

休職期間は、再び自分らしい生活を送るための準備期間でもあります。

一人で不安を抱え続ける必要はありません。

気持ちが整理できないときや、焦りが強くなってしまうときは、主治医や心理師などの専門家に相談することも、回復への大切な一歩になります。

当センターでも、休職中の過ごし方や復職への不安、気持ちの整理について、公認心理師がご相談をお受けしています。

「何から話せばよいかわからない」という方でも構いません。一人で抱え込まず、安心してご相談ください。

引用元・参考文献

  1. 厚生労働省「こころもメンテしよう 若者を支えるメンタルヘルスサイト」
    https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
  2. 内閣府「国民生活に関する世論調査」(令和7年8月調査)
    https://survey.gov-online.go.jp/living/202509/r07/r07-life/#sub24

 

コラムのご利用にあたって

当サイトのコラムは、こころの不調や働き方に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の診断や治療方針を示すものではありません。

ここケアセンター・ここケアワークスは医療機関ではないため、診断や薬の処方は行っていません。強い落ち込み、不眠、食欲低下、希死念慮、自傷の不安、仕事や生活への大きな支障が続く場合には、主治医や心療内科・精神科などの医療機関にご相談ください。

監修者

原井 宏明

原井クリニック院長 / ここケアセンター 顧問医

医師、精神保健指定医、精神科専門医・指導医(日本精神神経学会認定)、専門行動療法士(日本認知・行動療法学会認定)、認知行動療法師(日本認知・行動療法学会認定)、認知行動療法スーパーバイザー、認定動機づけ面接トレーナー(MINT認定)

プロフィール
原井クリニックHP


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