うつ状態にあると、以前なら気にならなかった出来事が強い負担として感じられることがあります。仕事でのちょっとした指摘や、日常の小さな予定変更、人との何気ないやりとりに対して、必要以上に疲れてしまうこともあります。
その結果、「自分はストレスに弱くなったのではないか」と感じる人も少なくありません。
うつ病とうつ状態では、実際にストレスを感じやすくなる傾向があることが知られています。これは気持ちの問題だけではなく、心の働き方全体が変化していることと関係しています。
うつ状態では、外からの刺激を処理する余裕が低下しやすく、同じ出来事でも負担として受け取りやすくなります。
まず影響を受けやすいのが、注意の向き方です。うつ状態では、否定的な情報や失敗に注意が向きやすくなります。
そのため、周囲の出来事の中からストレスになりそうな要素を無意識に拾い上げてしまい、安心できる情報や中立的な出来事が目に入りにくくなります。結果として、「一日中ストレスばかりだった」という感覚が強まりやすくなります。
また、うつ状態では出来事への意味づけも変化しやすくなります。たとえば、仕事量が少し増えただけでも、「もう対応できない」「限界だ」と感じやすくなります。
これは能力が急に低下したというよりも、負荷を評価する基準が厳しくなっている状態と考えられます。ストレス反応が早い段階で立ち上がりやすくなるのです。
さらに、回復に必要な調整力が弱まりやすいことも関係しています。通常であれば、疲れを感じたときに休む、気分転換をする、人に相談するといった調整が自然に行われます。
しかし、うつではこうした行動が取りにくくなり、負担がたまりやすくなります。その結果、同じストレスが長時間続きやすくなります。
ストレスを感じやすくなっているとき、「もっと我慢しなければ」「弱音を吐くべきではない」と考えてしまうことがありますが、それは状態をさらに悪化させることがあります。
重要なのは、ストレスを感じやすくなっていることを前提に、負荷のかかり方を見直すことです。今の状態では、以前と同じペースや条件が合わない可能性があります。
うつ状態が回復してくると、同じ出来事に対する反応も徐々に変化していきます。刺激を受け止める余裕が戻ることで、ストレスとして感じていた出来事が中立的に捉えられるようになることもあります。
そのため、「今はストレスに弱い」と感じること自体が、固定された性質を示しているわけではありません。
当てはまることがあった方へ。以前よりもストレスを強く感じやすい、日常の出来事が重くのしかかると感じる場合、それはうつ状態に伴う変化かもしれません。
必要なときは専門家に相談するのも選択肢のひとつです。今の負担のかかり方を整理し、無理のない関わり方を一緒に考えていくことが、回復の助けになることがあります。
焦らず、自分の状態に合ったペースを大切にしていきましょう。

