「カウンセリング」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?「悩みを相談するところ」「心の問題を扱う場所」など、なんとなくわかるけれど、具体的にどんなことをするのか、どんな意味があるのかは、意外と知られていないかもしれません。
特に、人間関係や仕事のストレスで悩んでいるとき、「カウンセリングを受けてみようかな」と考えても、「本当に意味があるのだろうか」「自分が受けても大丈夫なのか」と不安になることもあるでしょう。
この記事では、カウンセリングの意味や目的、期待できる効果について、初めての方にもわかりやすく解説します。カウンセリングとはどんなものなのか、理解を深めていきましょう。
カウンセリングとは?
「カウンセリング」の言葉に込められた意味
カウンセリング(counseling)という言葉は、英語の「counsel」に由来しています。counselには「相談する」「助言する」「忠告する」といった意味があり、もともとは誰かに相談したり、アドバイスをもらったりすることを指していました。
日本語では「相談」や「面談」と訳されることが多く、日常的な意味では「専門家に相談すること」全般を指すこともあります。たとえば、学校の進路カウンセリングや、美容カウンセリングなど、さまざまな場面で使われています。
ただの相談じゃない?心理カウンセリングの本質
心理学や臨床心理学の分野では、カウンセリングはより専門的な意味を持ちます。それは「心の悩みや問題を抱えている人に対して、専門的な知識や技法を用いて、その人自身が問題を解決できるよう支援すること」です。
ここで大切なのは、カウンセラーが一方的に答えを教えるのではなく、相談者が自分で考え、自分なりの答えを見つけられるよう、カウンセラーと一緒に考える、という点です。カウンセリングは対話を通じて行われ、相談者の気持ちに寄り添いながら、その人らしい解決の道を一緒に探していきます。
広義と狭義のカウンセリング
カウンセリングには、広い意味と狭い意味があります。
広い意味でのカウンセリングは、専門家による相談活動全般を指します。学校のスクールカウンセラー、企業の産業カウンセラー、キャリアカウンセラーなど、さまざまな分野で相談支援が行われています。
一方、狭い意味でのカウンセリングは、臨床心理士や公認心理師などの心理専門職が、心理学的な理論や技法に基づいて行う心理的支援のことを指します。この記事では、主にこの狭い意味での心理カウンセリングについて説明していきます。
カウンセリングを受けると、どうなるの?
答えをもらうのではなく、自分で見つける場所
カウンセリングの最も大きな目的は、相談者が自分の力で問題を解決できるよう支援することです。カウンセラーは、「こうすべきだ」と指示したり、「これが正解だ」と答えを教えたりはしません。
なぜなら、人はそれぞれ違う価値観や生き方を持っており、誰かにとっての正解が、別の誰かにとっても正解とは限らないからです。また、他人から与えられた答えよりも、自分で考えて導き出した答えのほうが、納得感があり、実際に行動に移しやすいという特徴があります。
カウンセラーは、相談者が自分の考えを整理したり、新しい視点に気づいたりできるよう、質問を投げかけたり、一緒に考えたりします。相談者自身が「自分はこう考えていたんだ」「こういう選択肢もあるんだ」と気づくことが、カウンセリングの大切な目的なのです。
気持ちや考え方を整理するサポート
悩みを抱えているとき、頭の中がごちゃごちゃして、何が問題なのか、どう感じているのか、自分でもよくわからなくなることがあります。カウンセリングでは、そうした混乱した気持ちや考えを、言葉にして整理していくことができます。
カウンセラーは、相談者の話をじっくりと聴き、「今、こういう気持ちなのですね」「この出来事がつらかったのですね」と、気持ちを言葉で確認してくれます。誰かに話を聴いてもらい、自分の気持ちを言葉にすることで、モヤモヤしていたものが少しずつクリアになっていきます。
また、感情だけでなく、考え方や思考のパターンを整理することもカウンセリングの目的の一つです。「いつもこう考えてしまう」「こういう状況で不安になる」といった自分の思考の癖に気づくことで、問題の本質が見えてくることもあります。
自分らしい生き方を見つける手助け
カウンセリングは、単に悩みを解決するだけでなく、相談者がより自分らしく生きられるようサポートすることも目的としています。
たとえば、「周りに合わせすぎて疲れてしまう」「本当は何がしたいのかわからない」といった悩みを持つ人は少なくありません。カウンセリングでは、そうした悩みを通じて、「自分はどんな人間なのか」「どんなことを大切にしたいのか」といった自己理解を深めていきます。
自分を理解することで、無理をしすぎず、自分に合ったペースで生きていく方法が見えてきます。カウンセリングは、相談者が自分の人生を自分で選択し、納得して歩んでいけるよう支える役割も担っているのです。
似てるけど違う?カウンセリングと他のサービス
心理療法・セラピーとの違い
カウンセリングと心理療法(サイコセラピー)は、密接に関連する概念であり、実務の現場では明確に線引きされないことも少なくありません。一般的には、カウンセリングは日常生活や仕事上の悩み、人間関係の困りごとなどに焦点を当て、相談者の状況整理や気持ちの言語化を支援する形で行われることが多いとされています。
一方、心理療法は、精神的な症状や深い心理的課題を対象に、特定の理論や技法に基づいて継続的に取り組む支援を指す場合が多くあります。ただし、両者の区別は必ずしも厳密ではなく、実際には重なり合う部分も多く存在します。
また、「セラピー(therapy)」という言葉は英語では治療全般を指しますが、日本ではアートセラピーや音楽療法など、特定の技法を用いた支援を指して使われることもあります。
コーチングとの違い
カウンセリングとコーチングは、どちらも相談者をサポートするという点では共通していますが、目的やアプローチが異なります。
コーチングは、主に目標達成や能力開発を目的としています。相談者がすでに持っている力を引き出し、具体的な目標に向かって行動できるよう支援します。基本的には、心の問題や過去のトラウマを扱うのではなく、未来志向で前向きな変化を目指します。
一方、カウンセリングは、心の悩みや困りごとに対応し、過去の経験や感情も含めて丁寧に扱います。目標達成よりも、心の安定や自己理解を重視する点が特徴です。
精神科・心療内科の診療との違い
精神科や心療内科では、医師が診察を行い、必要に応じて薬を処方したり、診断書を作成したりします。医療機関での治療は、うつ病や不安障害などの精神疾患に対して、医学的な観点から治療を行うことが目的です。
カウンセリングは、基本的には医療行為ではなく、薬の処方や診断はできません。ただし、精神科や心療内科でも、医師の診療と並行してカウンセリングが提供されることもあります。
心の不調が続いている場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合は、まず医療機関を受診することが推奨されます。医師の診断を受けた上で、必要に応じてカウンセリングを併用するという形が理想的です。
カウンセリングでどんな変化が起こる?
モヤモヤが整理されて心が軽くなる
カウンセリングを受ける最も直接的な効果は、心のモヤモヤが整理され、気持ちが楽になることです。悩みを誰にも話せず一人で抱え込んでいると、ストレスがどんどん溜まってしまいます。
カウンセリングでは、安心して話せる場所で、自分の気持ちを言葉にすることができます。話すこと自体に癒しの効果があり、「誰かにわかってもらえた」という安心感が心を軽くしてくれます。
また、混乱していた考えが整理されることで、「何に悩んでいたのか」「何が一番つらいのか」が明確になり、問題に向き合いやすくなります。
自分では気づけなかった視点が手に入る
カウンセラーは、心理学の専門知識や豊富な相談経験を持っています。そのため、相談者自身では気づかなかった視点や、別の考え方を提示してもらえることがあります。
たとえば、「自分が悪いと思い込んでいたけれど、実はそうではなかった」「考え方を少し変えるだけで、楽になれることに気づいた」といった発見があるかもしれません。
専門家だからこそできる、客観的で温かいサポートを受けられることも、カウンセリングの大きな効果の一つです。
「いつもこうなる」パターンが見えてくる
カウンセリングを続けていくと、自分の考え方の癖や、いつも繰り返してしまう行動パターンに気づくことがあります。
たとえば、「いつも完璧を求めすぎて疲れてしまう」「断れずに引き受けてしまう」「すぐに自分を責めてしまう」といった癖です。こうした癖に気づくことで、「どうすれば楽になれるか」を考えられるようになります。
自分のパターンを理解することは、同じ問題を繰り返さないための第一歩です。カウンセリングは、自己理解を深め、より健康的な思考や行動を身につけるきっかけになります。
問題と向き合う力が身につく
カウンセリングでは、カウンセラーと一緒に問題を整理し、解決策を考えていきます。この経験を重ねることで、問題に向き合う力や、自分で考える力が少しずつ育っていきます。
最初は「どうしていいかわからない」と感じていた問題も、カウンセリングを通じて「こう考えればいいんだ」「こういう選択肢もあるんだ」と気づけるようになります。
カウンセリングで得た気づきや考え方は、カウンセリングが終わった後も、日常生活の中で活かすことができます。つまり、カウンセリングは一時的な支援だけでなく、長期的に自分を支える力を育てることにもつながるのです。
どんな受け方がある?自分に合った方法
対面カウンセリング
最も一般的なのが、カウンセリングルームなどで直接会って行う対面カウンセリングです。カウンセラーと向き合って話すことで、表情や雰囲気も含めたコミュニケーションができ、安心感や信頼感を得やすいという特徴があります。
対面カウンセリングは、落ち着いた環境でじっくりと話ができるため、深い悩みや複雑な問題を扱いやすいとされています。ただし、カウンセリングルームまで通う必要があるため、時間や交通の面での負担があります。
オンラインカウンセリング
近年増えているのが、ビデオ通話を使ったオンラインカウンセリングです。自宅など好きな場所から受けられるため、通う手間がなく、遠方の方や外出が難しい方でも利用しやすいという利点があります。
オンラインでも、対面と同じように顔を見ながら話すことができるため、安心して相談できます。ただし、通信環境によっては音声や映像が途切れることもあるため、安定したインターネット環境が必要です。
電話カウンセリング
電話でのカウンセリングもあります。電話カウンセリングは、顔を見せずに話せるため、「顔を見られるのは緊張する」という方でも利用しやすいでしょう。
生成AIによるカウンセリング
最近では、生成AIを活用したカウンセリングサービスも登場しています。24時間いつでも気軽に相談できる手軽さや、人に話しづらい悩みも気兼ねなく打ち明けられる点が特徴です。ただし、AIは人間のカウンセラーのような深い共感や臨床経験に基づく判断はできないため、補助的なツールとして活用するのが良いでしょう。
カウンセリングを受けることに意味はある?
意味がないと感じる人の特徴
カウンセリングを受けても「意味がなかった」と感じる人もいます。その理由の一つは、カウンセリングに対する期待と実際のギャップです。
たとえば、「カウンセラーが具体的な答えを教えてくれると思っていたのに、質問ばかりされた」「すぐに悩みが解決すると思っていたのに、変化を感じられなかった」といった場合です。
また、自分から積極的に話さず、カウンセラーに任せきりになってしまうと、カウンセリングは進みにくくなります。カウンセリングは、相談者とカウンセラーが協力して進めるものなので、受け身の姿勢だけでは十分な効果が得られないこともあります。
さらに、カウンセラーとの相性が合わないことも、効果を感じられない原因になります。もし「話しにくいな」と感じても無理することはありません。ダメ元くらいの気持ちで「相性の合う方を探している」と伝えてみると、意外と柔軟に対応してもらえるかもしれません。
カウンセリングを最大限に活かすコツ
カウンセリングの効果を高めるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、カウンセリングに対して今の自分、状況に合った目標を持つことです。カウンセリングは魔法ではなく、一回で全てが解決するわけではありません。少しずつ変化していくプロセスを大切にしましょう。
次に、自分の気持ちを正直に話すことです。カウンセラーは味方であり、批判するためにいるのではありません。恥ずかしいことや情けないと思うことも、安心して話してみてください。
また、カウンセリングで気づいたことを、日常生活で少しずつ試してみることも大切です。カウンセリングの場だけで変化を求めるのではなく、普段の生活の中で実践することで、効果を実感しやすくなります。
「自分なんかが」と思わなくて大丈夫
カウンセリングは、「深刻な悩みがある人だけのもの」ではありません。「なんとなく話を聴いてほしい」「ちょっとモヤモヤする」といった気持ちでも、受けて構いません。
むしろ、問題が大きくなる前に相談することで、早めに心を整えることができます。カウンセリングは、歯医者の定期検診のように、心のメンテナンスとして利用することもできるのです。
「自分なんかが受けていいのだろうか」と遠慮する必要はありません。カウンセリングは、誰でも自由に、必要だと感じたときに受けられるものです。
まとめ
カウンセリングとは、専門的な知識を持つカウンセラーが、相談者の悩みや問題に寄り添い、その人自身が答えを見つけられるよう支援する営みです。答えを教えるのではなく、気持ちや考えを整理し、自分らしい生き方を見つける手助けをすることが目的です。
カウンセリングには、心が軽くなる、専門的な視点を得られる、自分の思考パターンに気づける、問題と向き合う力が育つといった効果があります。対面、オンライン、電話など、さまざまな方法があり、自分に合った形で利用できます。
「意味がない」と感じないためには、現実的な期待を持ち、正直に話し、日常で実践することが大切です。カウンセリングは特別な人だけのものではなく、誰でも気軽に受けられるものです。
もし今、誰にも話せない悩みを抱えていたり、心がモヤモヤしていたりするなら、カウンセリングという選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、新しい一歩を踏み出せるかもしれません。
当センターでは初回無料カウンセリングを受け付けています。お困りの際は是非一度ご検討ください。
引用元・参考文献リスト
本文書で説明したカウンセリングに関する情報は、以下の公的機関および学術機関による信頼できる情報源に基づいています。
- 厚生労働省「e-ヘルスネット(カウンセリング / 心理療法)」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-088 - 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
https://kokoro.mhlw.go.jp/ - 一般社団法人日本カウンセリング学会「日本カウンセリング学会について」
https://www.jacs1967.jp/ - 一般社団法人日本カウンセリング学会「カウンセリング研究(学術誌)」
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/cou/-char/ja/ - 一般社団法人日本臨床心理士会「臨床心理士について」
https://www.jsccp.jp/ - 公益社団法人日本公認心理師協会「公認心理師協会について」
https://www.jacpp.or.jp/


