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Columnコラム

「気を使いすぎて疲れる」うつと気遣いはどう関連する?

「気を使いすぎて疲れる」うつと気遣いはどう関連する?

職場や家庭、友人関係の中で、こんなふうに感じたことはありませんか。

  • いつも周りの目を気にしてしまう
  • 相手の機嫌をうかがってばかりいる
  • 場の空気を壊さないように言いたいことを我慢する
  • 断ることができず、頼まれごとを引き受けすぎてしまう
  • 誰かのために動いてばかりで、自分の時間がほとんどない

そのうち、何をするにも疲れを感じるようになったり、何となく気分が落ち込む日が続くようになったりしていないでしょうか。それは「うつ症状」と関係している可能性があります。

「気を使いすぎる」人の特徴とうつ

うつ症状を訴える人の中には、周囲に気を配りすぎる傾向がある人が少なくありません。心理学の研究でも、他人を優先しやすい人や対人関係における不安が高い人ほど、うつ症状を抱えやすいことが示されています。

自分の気持ちよりも相手の期待を優先しすぎると、自分の感情や欲求を抑え込むことになります。長期的には、それが負担となり、うつにつながることがあります。

また、「他人にどう思われているか」を気にしすぎると、常に緊張した状態が続きます。交感神経が優位になり、睡眠や食欲にも影響が出て、疲労感が抜けにくくなるのです。

なぜ「気遣い」が疲れやすさにつながるのか

他者の感情や反応に気を配ることは、本来とても大切なスキルです。人との関係を円滑にするうえで、「気遣い」は重要な役割を果たします。

しかし、常に「嫌われないように」「失礼のないように」と気を張っていると、自分の中の緊張が解ける時間がありません。その結果、慢性的な疲労や焦燥感を抱えるようになってしまいます。

そして、自分の気持ちに注意を向ける機会が減り、次第に「何を大事にしたいのか」「どんなときに心が動くのか」が見えづらくなることがあります。そうなると、自分らしさや日常の充実感を感じにくくなる原因のひとつとなります。

気を使いすぎる人が気づきたい視点

うつ症状を抱える人は、「人に迷惑をかけてはいけない」「ちゃんとしなければならない」といった強い思い込みを持っていることがあります。これらの考え方は、自分を律するうえでは有効ですが、過剰になると心を追い込む要因になります。

まずは、自分が無理をしていないか、小さなサインに目を向けてみてください。「断ったら悪い気がする」と思うとき、その背景にはどんな不安があるのかを考えることが、自分を守る一歩になります。

当てはまることがあった方へ

人のことばかりを考えて、自分のことが後回しになっている。そんな状態が続くと、誰でも疲れてしまいます。「気を使いすぎているかもしれない」と思えたときが、立ち止まって自分に目を向けるタイミングかもしれません。

少しずつ、自分の本音にも耳を傾けてみてください。それはわがままではありません。気遣いと同じように、心の健康を守るうえで欠かせない、大切な行為です。

自分の気持ちも大切にして、よりよい生活を送ってもらえたらいいなと思います。


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