
新年度が始まってしばらく経ち、少し落ち着いてきた頃。ふとこんなことで困っていませんか?
- 朝、起きるのがつらくなってきた
- なんとなくやる気が出ない日が続いている
- 仕事や勉強に集中できない
- 以前は楽しめたことが楽しめない
- 休日も疲れが取れない気がする
もし心当たりがあるとしたら、それは「五月病」と呼ばれる状態かもしれません。
「五月病」は正式な医学的診断名ではありませんが、新年度の環境変化にともなうストレスや緊張が、ゴールデンウィーク明けに心身の不調として現れる状態を指します。特に、入学や就職、異動などにともなって生活が一変した人に多く見られる傾向があります。
医学的には「適応障害」や「うつ病」の初期段階として扱われることもあり、症状が長引く場合には正式な診断が必要となることもあります。ただし、その多くは一時的な反応であることも多く、早期に対処することで回復しやすいと考えられています。
どのような症状が出やすいのか
五月病とされる状態では、身体的・精神的なさまざまな不調があらわれます。たとえば、朝起きるのがつらい、倦怠感が続く、集中力が低下する、食欲が落ちる、不安感が強まるなど、日常生活に影響を及ぼす症状が多く報告されています。
また、イライラしやすくなったり、無気力になったりすることで、人間関係がうまくいかなくなることもあります。これは、過度なストレスによって自律神経のバランスが崩れ、心と体の両方に影響が及んでいるためだと考えられています。
背景にあるストレスと変化の負荷
新年度は、多くの人にとって新しい環境に適応するためのエネルギーを必要とする時期です。慣れない人間関係、新しい業務、変化する生活リズムなどが重なることで、心身の疲れがたまりやすくなります。
ゴールデンウィークのような長期休暇では、いったん緊張が緩むため、それまで気づいていなかった疲れが一気に表面化しやすくなります。これは、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかない状態とも言えます。
また、頑張り屋な人ほど「もっとやらなければ」「期待に応えなければ」と自分にプレッシャーをかけやすく、知らず知らずのうちに心が限界を超えてしまうこともあります。
科学的な視点で捉える五月病
「五月病」という言葉は医学的な診断名ではありませんが、その背景には十分に科学的根拠が存在します。たとえば、生活の中での大きな変化やストレスが精神疾患のリスクを高めることは、精神医学において繰り返し報告されています。
特に、強いストレスにさらされたときには、自律神経やホルモンのバランスが崩れ、睡眠の質が低下したり、免疫機能が落ちたりすることが知られています。これは、体の不調だけでなく、感情のコントロールや思考力にも影響を与える可能性があるため、放置せずに対処することが大切です。
回復のためにできること
五月病に対する基本的な対策は、「今の自分の状態に気づき、無理をしないこと」です。生活のリズムを整えることや、睡眠時間を確保することは、心の安定にもつながります。また、深呼吸や軽い運動などを取り入れて、副交感神経を優位にする習慣を持つことも効果的です。
新しい環境に慣れるまでには時間がかかるのが自然です。焦らずに、自分のペースで順応していくことが、長期的には大きな回復につながります。必要であれば、身近な人や専門家に相談することも、回復の第一歩となります。
当てはまることがあった方へ
新年度を迎えてから、以前よりも気分が落ち込んでいる、疲れがとれない、やる気が出ないと感じている方は、それが「一時的なもの」か「少し長引いているもの」かを見極めることが大切です。数週間たっても改善しない場合には、無理をせず、専門家に相談することをおすすめします。
今の気持ちは決してあなた一人だけのものではありません。環境の変化にゆっくり順応していくことは、心を守るうえでとても大切な過程です。見方を少し変えてみるだけで、気持ちが軽くなることもあります。小さな視点の変化を積み重ねながら、自分のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。