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夏になると気分が落ち込む?暑さとメンタル不調の関係と、今日からできるセルフケア

夏になると気分が落ち込む?暑さとメンタル不調の関係と、今日からできるセルフケア

暑い日が続くと、なんとなく体がだるくなったり、やる気が出なくなったりすることはありませんか?

「夏バテかな」と思って過ごしているうちに、気分の落ち込みが続いたり、眠れない夜が増えたりして、「自分はどこかおかしいのかもしれない」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

実は、夏の暑さが心に影響を及ぼすことは珍しくなく、その背景には自律神経や睡眠の乱れといった体の仕組みが関わっていると考えられています。

この記事では、夏の時期にメンタルの不調が起こりやすくなる仕組みと、日常生活に取り入れやすいセルフケアの方法についてお伝えします。

夏にメンタルの不調を感じやすくなる3つの背景

夏は体にとって負担が大きい季節です。メンタルの不調を感じやすくなる背景には、おもに3つの要因があるといわれています。

暑さと冷房の温度差による自律神経への負担

私たちの体には、暑いときに汗をかいて体温を下げたり、寒いときに血管を縮めて体温を保ったりする仕組みがあります。この調整を担っているのが自律神経です。

夏は屋外の高い気温と冷房の効いた室内の間を行き来することが多くなります。温度差が大きい環境では、体温調節のために体がエネルギーを使いやすく、だるさや疲労感、頭痛などにつながることがあります。こうした身体的な負担に、睡眠不足やストレスが重なると、気分の落ち込みやイライラを感じやすくなる場合があります。

特に、もともとストレスを抱えていたり、生活リズムが不規則になっていたりする方は、こうした影響を受けやすい傾向があると考えられています。

暑さによる睡眠の質の低下

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、室温や湿度といった寝室の環境が寝つきや睡眠の深さに影響を与えることが指摘されています。夏の熱帯夜は、寝室の温度が下がりにくく、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりしやすくなります。

睡眠の質が低下すると、日中の集中力や判断力が落ちるだけでなく、気分の不安定さやイライラにもつながりやすくなることがあります。「ただ暑くて眠れないだけ」と感じていても、実は心身に大きな負担がかかっている場合があるかもしれません。

食欲の低下と栄養バランスの偏り

暑さが続くと食欲が落ち、冷たい飲み物やさっぱりしたものばかりを選びがちになります。こうした食事の偏りが続くと、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの生成に必要な栄養素が不足しやすくなるといわれています。食事量や栄養バランスが大きく崩れると、疲れやすさや集中しづらさにつながることがあります。無理のない範囲で主食・主菜・副菜のバランスを整えることが大切です。

「夏バテ」と「夏のメンタル不調」はどう違う?

「体がだるい」「食欲がない」といった症状は、夏バテでもメンタルの不調でも見られるため、見分けがつきにくいことがあります。

一般的に、夏バテは暑さによる一時的な体の疲労であり、涼しい環境で休息をとったり、栄養を補給したりすることで回復しやすいものです。

一方で、十分に休んでいるはずなのに気分の落ち込みが続く、以前は楽しめていたことに興味が持てなくなる、人と会うこと自体がつらく感じるといった状態が長く続く場合は、うつ病や適応反応症(適応障害)、不安症(不安障害)などの可能性も考えられます。

特に休職中の方は、「今は仕事をしていないのだから、夏バテなんて言っていられない」と思ってしまったり、日中の活動量が少ないために「疲れるはずがない」と不調を軽視してしまったりすることがあるかもしれません。しかし、休職中であっても暑さによる自律神経への負担は同じようにかかります。「仕事をしていないのに調子が悪い」と感じること自体が、すでに心身にサインが出ている状態である可能性もあります。

「たかが夏バテ」と片づけず、心の状態にも目を向けてみることが大切です。気になる症状がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

夏のメンタルを守るために取り入れたいセルフケア

ここからは、暑い時期でも取り組みやすいセルフケアの方法をご紹介します。休職中で自宅にいる時間が長い方は、通勤や外出といった「自然に体を動かす機会」が減っている分、意識的に生活の中にメリハリをつけることが大切になってきます。
すべてを完璧に行う必要はありません。自分にとって取り入れやすいものから、ひとつずつ試してみてください。

睡眠の環境を整える工夫

厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝室の温度や湿度を調整して睡眠環境を整えることの重要性が示されています。エアコンを活用して室温を涼しく保つこと、寝具を夏用の通気性の良いものに替えることなど、小さな工夫が睡眠の質の改善につながる場合があります。

また、就寝の1〜2時間前にぬるめのお湯で入浴することで、体温が自然に下がるリズムが生まれ、寝つきが良くなることが知られています。寝る前のスマートフォンの使用を控えることも、睡眠の質に良い影響を与える可能性があるといわれています。

朝の時間を使って生活リズムを保つ

起床時間をできるだけ一定にし、朝の光を浴びることは、体内時計を整えるうえで大切な習慣です。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、光浴は快眠に役立つ生活習慣のひとつとして紹介されています。

休職中の方は、決まった時間に出かける予定がないために、「暑いからもう少し寝ていよう」と起床時間が少しずつ遅くなりがちです。しかし、起きる時間がずれると体内時計のリズムが崩れ、夜の寝つきにも影響が出やすくなります。「毎朝同じ時間に起きてカーテンを開ける」という小さな行動だけでも、一日のリズムをつくるきっかけになります。

夏場は日差しが強いため、日中の外出は熱中症への注意が必要ですが、朝の比較的涼しい時間帯に短い散歩をするだけでも、体を動かすきっかけになります。外に出るのがむずかしいときは、『ベッドの中で、カーテンを開けて外の光を目に入れるだけ』『ベランダに出て30秒だけ外の空気を吸う』といった、本当に小さな行動からでも十分です 。


朝食をしっかりとることも、体内時計のリセットとセロトニンの生成に役立つと考えられています。

暑い日でもできる体の動かし方

体を動かすことは、自律神経のバランスを整えたり、睡眠の質を高めたりするうえで大切な要素のひとつと考えられています。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、運動習慣のある人は寝つきがよく、不眠の症状が少ないことが紹介されています。

ただし、夏場に無理な運動をすると、かえって体調を崩す原因にもなります。冷房の効いた室内でのストレッチや軽い体操、涼しい時間帯を選んでの短い散歩など、無理のない範囲で取り組むことが大切です。

休職中で自宅にいる時間が長い方は、「近くのコンビニまで歩いてみる」「スーパーへ買い物に行く」といった日常の用事を、体を動かす機会として活用してみるのもひとつの方法です。「運動しなければ」と構えるのではなく、生活の中で自然に体を動かす場面をつくっていくことが、続けやすいコツといえるかもしれません。

自分の「考え方のクセ」に気づいてみる

暑さで体がつらい日が続くと、「自分はなまけている」「周りは普通にやっているのに」と、自分を責める考えが浮かびやすくなることがあります。

認知行動療法では、こうした考え方のパターンに気づき、「本当にそうだろうか?」と少し立ち止まって検討してみることを大切にしています。これは、考え方を無理にポジティブに変えるということではなく、自分の置かれた状況をより現実に即してとらえ直すプロセスです。

たとえば、「今日は何もできなかった」と感じたとき、「暑い中でも体調を整えようとしたこと自体が、ひとつの行動だった」と見方を広げてみることも、気持ちを和らげる助けになる場合があります。

ただし、こうした考え方の見直しは、一人で取り組むのがむずかしいこともあります。心理師と一緒に、自分の考え方のクセや行動のパターンを整理しながら進めることで、より自分に合った方法が見つかりやすくなることがあります。

暑い夏を少しでも穏やかに過ごすために

夏の暑さがメンタルに影響を与えることは、決して珍しいことではありません。大切なのは、自分の心と体の状態に気づき、必要なケアを取り入れていくことです。

気になる症状が続く場合は、まずは心療内科や精神科などの医療機関を受診することをおすすめします。

また、当センターでは、公認心理師による認知行動療法を中心としたカウンセリングを通じて、生活の中で感じる不安やつらさに一緒に向き合っています。認知行動療法は、考え方のクセに気づくことと、行動を少しずつ変えていくことの両面から、より安定した生活に向けた土台づくりを目指すアプローチです。

「生活リズムが崩れてしまって、どう立て直したらいいかわからない」「一人ではセルフケアがむずかしい」といったご相談にも対応しています。初回のカウンセリングは無料ですので、「まずは話を聞いてもらいたい」という方もお気軽にご相談ください。

引用元・参考文献

  1. セロトニン|e-ヘルスネット(厚生労働省)
    https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-074.html
  2. 快眠と生活習慣|e-ヘルスネット(厚生労働省)
    https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
  3. 健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  4. 熱中症予防のための情報・資料サイト|厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/

監修者

原井 宏明

原井クリニック院長 / ここケアセンター 顧問医

医師、精神保健指定医、精神科専門医・指導医(日本精神神経学会認定)、専門行動療法士(日本認知・行動療法学会認定)、認知行動療法師(日本認知・行動療法学会認定)、認知行動療法スーパーバイザー、認定動機づけ面接トレーナー(MINT認定)

プロフィール
原井クリニックHP


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