強迫症とは
強迫症とは、自分の意思に反して、不合理な考えやイメージが頭に繰り返し浮かんできて、それを振り払おうと同じ行動を繰り返してしまう病気です。意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。
主な症状として、汚いと頭に浮かんでしまい何度も手洗いをしてしまう(不潔恐怖)、気になってしまい戸締りやガスの元栓の確認を何度もしてしまう(確認強迫)、車の運転中に人を傷つけてしまったのではないかと気にしてしまい、何度も気になった場所に戻り確認してしまう(加害恐怖)などです。
また、強迫症は家族の方を巻き込んでしまうこともよくあります。気になることを家族の人に確認してもらったり、自分が不安にならないように家族の人に環境を変えてもらったりすること(巻き込み)が見られます。本人も家族もしんどくなっていくのがこの障害の特徴です。
強迫症は調査によりますが生涯の間に 100 人に 1-4 人が経験する決してめずらしい病気ではありません。強迫症の原因は未だ明らかにされていませんが、有効性が確立されています。その治療法の一つが、認知行動療法(曝露反応妨害法)です。
強迫症の維持要因
自分が不快と感じる刺激に直面すると、「このままだとまずくなるんじゃないか」という考え(強迫観念)が出てきます。すると不安が大きくなり、不安を下げる行動(強迫行為)をして自分を安心させます。その結果、不安に耐える力がなくなり、余計に不安を下げる行動(強迫行為)が止められなくなり、症状が維持し続ける、というループに入ってしまいます。
不潔恐怖の例でみてみると、不潔だと感じる何かに触ると、「病気になるのではないか。家族に病気をうつすのではないか(強迫観念)」と心配になり、何度も手を洗うや除菌シートで物を拭く(強迫行為)を1日に何度も行ってしまいます。
強迫症の治療
強迫症の治療では、薬物療法と曝露反応妨害法という心理療法が使われます。
曝露反応妨害法とは、あえて不安や恐怖を感じるものに接近し、これまで不安や恐怖を下げていたこと(強迫行為)を行わない治療法です。
各症状の曝露反応妨害法は以下の通りです。
- 不潔恐怖:あえて汚いと思うものに触り手洗いや除菌シートで拭かない
- 確認強迫:カギを閉めて家を出るが、カギの確認はせずに過ごす
- 加害恐怖:車を運転するが、人をひいたかもしれないと思っても確認せず運転を続ける
不安や恐怖に接近することは、とても労力を使います。怖くなって曝露反応妨害法を急にやめてしまうと、悪化する場合もあります。また、曝露反応妨害法の効果を出していくためには、不安から安心するような行為(強迫行為)を取らず、不安にじっくり慣れていくことが大切になります。そこで、支援者と一緒に相談しながら、曝露反応妨害法の課題を決めていくことをお勧めします。