製造業の就業者割合が全国2位(令和2年国勢調査:愛知県25.6%、全国平均15.9%)で、ものづくりを基盤に発展してきた名古屋・愛知。完全失業率も全国平均を下回る水準で推移しており、雇用が比較的安定した地域として知られています。
その一方で、正規雇用で長く同じ職場に勤め続ける働き方が多いこの地域では、職場の人間関係や業務負荷を抱えながらも「辞める」という選択肢を取りにくく、限界まで踏ん張り続けた末に体調を崩してしまう方が少なくありません。
「どんなことをするのか」「自分みたいな状態で通えるのか」
リワーク支援に関心を持ちながらも、通い始めるイメージが湧かずに一歩が踏み出せない方は多くいます。リワーク支援に通い始めた場合に何が起きるのかを、初回相談から復職後のフォローアップまでの流れとともにお伝えします。
名古屋・愛知で働く人とリワーク支援
製造業の離職率は全国的に10%前後と低く(令和5年雇用動向調査)、宿泊・飲食業(30%超)など離職の多い業種と比べて、長期勤続が一般的です。愛知県はその製造業が際立って集積している地域です。製造品出荷額は46年連続全国1位(2022年)を誇り、就業者の4人に1人が製造業に従事しています。
雇用が安定しているということは、すなわち「同じ職場・同じ環境に長くいる」ということでもあります。ストレスの原因となっていた職場環境がそのまま残っている中で復職する場面も少なくなく、準備なしに戻ると再び同じ問題に直面するリスクがあります。リワーク支援は、「また倒れずに長く働き続けるための準備」をする場所です。単に体調を回復させるだけでなく、職場環境への向き合い方を自分の中で変えていくことが、長期的な就労継続につながります。
「まず相談」からでいい。通い始めるまでの流れ
リワーク支援に関心を持ちながらも、「今の自分の状態で通えるのか」と迷っている方がいます。朝起きられない日がある、人と話すのがしんどい——そういった状態でも、リワーク支援は「そこから一緒に整えていく」ことを前提としています。
大切なのは、「万全の状態になってから行く」のではなく、「万全でない状態を一緒に整えていく場所」として使うことです。初回相談では、今の体調・困っていること・目指したい働き方などを担当者に話すことから始まります。その後、障害福祉サービスの受給者証の申請手続き(障害者手帳がなくても申請可能)を経て利用を開始します。
リワーク支援でできること(当センターの場合)
リワーク支援では一般的に、心身の回復から職場復帰の準備まで、段階に応じた支援が行われます。具体的な内容や手厚さは施設によって異なりますが、当センターでは名古屋市最大規模の事業所として、公認心理師による認知行動療法を中心とした科学的根拠に基づく支援を提供しています。一人ひとりの回復段階や疾患の特性に合わせた充実したプログラム体制を整えており、それが「また倒れずに長く働き続けられる」状態での復職につながっています。
たとえば、マインドフルネス・行動活性化・集団認知行動療法・リラクセーション・SST(コミュニケーション練習)・WRAP(元気回復行動プラン)・ストレスマネジメント・折れない心の作り方・採用面接練習・ビジネスマナー講座・チームプロジェクトなど、週ごとに組まれた多彩なプログラムは、他の施設ではなかなか見られない充実した内容です。うつ病・適応反応症(適応障害)・双極症・不安症など、疾患別に推奨プログラムが用意されている点も当センターならではの強みです。
さらに、復職後も最長3年間の就労定着支援として継続的なカウンセリングを受けられる体制を整えており、復職がゴールではなく、「その後も安定して働き続けること」を最終目標に据えた伴走型の支援が当センターの大きな特徴です。以下では、実際にどのような流れで支援が進むのかをご紹介します。
通所で起きる3つの段階(当センターの場合)
通所が始まると、一人ひとりに専任の公認心理師が担当につき、体調や進捗に合わせて支援内容を個別に調整しながら進んでいきます。大まかには次の3つの段階があります。
最初の段階は、心身の回復と生活リズムの安定が中心です。「活動記録表」を使いながら自分の生活パターンを振り返ることからスタートし、週1回の個別カウンセリングで課題を設定していきます。並行して、マインドフルネスや行動活性化、集団認知行動療法、リラクセーション、SST(コミュニケーション練習)など、曜日ごとに組まれたプログラムに自分のペースで参加していきます。疾患別に推奨プログラムが用意されているため、うつ病、適応反応症(適応障害)、双極症、不安症などそれぞれの状態に応じた内容で取り組むことができます。体調に合わせてカウンセリングの日時を相談しながら調整できることも、継続を支える要素のひとつです。
症状が回復してきたら、職場復帰・再就職に向けた実践的な準備の段階に入ります。「パーソナルタスク」と呼ばれる事務作業(文章チェック・計算・書き写しなど)で集中力と作業遂行能力を養い、チームで資料を作成して発表する「チームプロジェクト」では実際の職場に近い体験を積みます。採用面接の練習、履歴書の書き方、ストレスマネジメント、ビジネスマナーなどの講座も週ごとに設けられており、必要に応じて職場や医療機関との復帰調整、通勤訓練・リハビリ出勤のサポートも行われます。
職場に戻った後も支援は続きます。月1回以上のカウンセリングで現在の状況を確認しながら、再発・再燃を防ぐためのサポートを継続して受けることができます(就労定着支援として、一般就労後6ヶ月以上経過した方が最長3年間利用可能)。復職・再就職はゴールではなく、「その後も安定して働き続けられること」が本当の目標です。定期的に状況を確認し、気になることを相談できる場所があることは、小さな変調を見逃さないためにも大切な環境といえます。
「また折れるかも」という不安に、具体的なスキルで向き合う
休職を経験した方の多くが、「もし復職してまた同じことになったら」という恐怖を抱えています。この恐怖は、「また折れそうになったときにどうするか」という具体的な対処法が手元にないことから来ています。
リワーク支援の中では、こうしたセルフケアのスキルを段階的に身につけていきます。「WRAP(元気回復行動プラン)」では、自分が元気でいるために必要な行動プランを参加者同士で考えながら作成します。「ストレスマネジメント」では自分のストレスサインへの気づき方と対処法を練習し、「折れない心の作り方」では逆境をはね返す力を育みます。通所を通じて、「がんばる」か「倒れる」かの二択だった状態から、複数の対処手段を持って職場に戻ることができるようになっていきます。
なお、リワーク支援を利用しなかった場合、復職後に再休職するリスクは利用者の約2.3倍高いという研究報告があります※。スキルを持って戻るかどうかが、長く続けられるかどうかの差につながります。
※ 日本うつ病リワーク協会 調査シリーズNo.100(労働政策研究・研修機構、2012年)をもとに算出。詳細は巻末「引用元・参考文献」5を参照。
人と関わることへの不安も、通う中で変わっていく
コミュニケーションに不安がある、人前で話すのが苦手——そういった方にとって、グループでの活動を想像するとハードルに感じることがあります。
実際に通われた方からは、「最初は緊張するでしょうが、時間が経つと自分の居場所となれる施設です」「他の利用者さんとも楽しく接して悩みも共有できました」といった声が寄せられています。週1回のカウンセリングで「困ったことや感じたことをまず相談できる」という安心感が積み重なる中で、少しずつ場に馴染んでいく方が多いようです。プログラムを通じて同じ経験を持つ人たちと自然につながれることが、孤立しがちな休職期間の大きな支えになっています。
当センターは、公認心理師による認知行動療法を中心とした科学的根拠に基づく支援を提供する、名古屋市最大規模のリワーク(復職・再就職)支援事業所です。初回相談は無料で、カウンセリングのみの利用も可能ですのでお気軽にご予約ください。
引用元・参考文献
- 総務省「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果」
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_02.pdf - 愛知県「あいちのあらまし(産業)」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/koho/0000007891.html - 厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf - 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2009年改訂)
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf - 日本うつ病リワーク協会「リワーク関連情報/資料」(労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.100、2012年を含む)
https://utsu-rework.org/info/
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