心の悩みを抱えているのに、カウンセリングを受けるお金がないという状況は、とてもつらく感じられるかもしれません。専門家のサポートを受けたいと思っているのに、経済的な理由で諦めてしまう方は少なくありません。しかし、カウンセリングは有料のものだけではなく、無料または低価格で利用できる方法がいくつもあります。この記事では、お金がなくてもカウンセリングを受けられる公的機関や低価格サービス、費用負担を軽減する制度、そしてセルフケアの方法まで、具体的にご紹介します。
まずは知っておきたい!カウンセリングの料金事情
地域や条件で異なるカウンセリングの相場
民間のカウンセリング機関の料金は、地域によって大きく異なります。都市部では1回50分で7,000円〜10,000円程度が相場で、著名な心理師が在籍する機関では15,000円以上かかることもあります。一方、地方では4,000円〜6,000円程度の機関もあります。料金だけでなく、どのような心理療法を提供しているかなど支援内容も確認することが大切です。
継続的にカウンセリングを受ける場合、月に2〜4回のセッションが推奨されることが多いため、都市部では月額で16,000円〜40,000円以上の費用がかかる計算になります。この金額は、収入が限られている方や失業中の方にとって負担に感じられることもあるでしょう。
保険適用されるケースとされないケース、その違いは?
精神科や心療内科で医師が行う精神療法(通院精神療法など)には、健康保険が適用されます。3割負担で1回1,000円から2,000円程度で受けられることが一般的です。ただし、これはあくまで医師による精神療法であり、一般的にイメージされるカウンセリングとは内容や時間が異なる場合があります。
公認心理師や臨床心理士によるカウンセリングについては、保険適用の対象となる場合もありますが、現時点では小児特定疾患やPTSDなど一部の条件に限られており、対応している医療機関もまだ限られています。そのため、保険適用でカウンセリングを受けたい場合は、事前に医療機関へ確認することをおすすめします。
一方、民間のカウンセリングルームや心理相談室で行われるカウンセリングは、医療行為ではないため保険適用外となり、全額自己負担です。なお、精神科や心療内科に通院している方は、後述する自立支援医療制度を利用することで、医療機関での自己負担を軽減できる場合があります。
低価格でカウンセリングを受ける方法
初回無料カウンセリングを活用する
まずお金をかけずにカウンセリングを試したい方は、初回無料カウンセリングを提供している機関を探してみましょう。初回無料であれば、自分に合うかどうかを確認してから継続を検討できるため、経済的な負担を気にせず、まずは試してみることができます。
当センターでも、初回カウンセリングを無料で受けることができます。公認心理師による認知行動療法を中心とした支援を行っており、うつ病や双極症(双極性障害)、適応反応症(適応障害)、神経発達症(発達障害)などの診断がある方だけでなく、診断の有無にかかわらず「気分の落ち込み」「不安」「仕事や生活の悩み」などを抱えている方も対象です。カウンセリングのみの利用も可能なため、復職を前提としていない方でもご相談いただけます。
さらに、当センターでは障害福祉サービス受給者証をお持ちの方であれば、低価格でカウンセリングを継続してご利用いただけます。受給者証の申請についてもご相談に応じておりますので、経済的な負担を抑えながら必要な支援を受けたい方はお気軽にお問い合わせください。
大学附属の心理相談室を利用する
大学院で臨床心理学を学ぶ学生が実習として行うカウンセリングを、低価格で受けられる制度があります。多くの大学附属心理相談室では、1回1,000円から3,000円程度でカウンセリングを受けることができます。
学生が担当しますが、必ず指導教員である経験豊富な心理師がスーパーバイズ(指導)を行うため、質の高い支援を受けられます。ただし、予約が取りにくい場合や、学生の実習期間に合わせた短期間の支援になることもあるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
自宅でOK!オンラインカウンセリングの魅力
近年増えているオンラインカウンセリングサービスは、対面のカウンセリングよりも比較的低価格で提供されていることが多いです。ビデオ通話やチャットを通じて心理師とやりとりができ、1回3,000円から5,000円程度、中には月額制で何度でも相談できるサービスもあります。自宅から利用できるため、外出が難しい方や地方在住の方にも便利です。ただし、サービスによって質にばらつきがあるので、公認心理師や臨床心理士などの有資格者が対応しているかを確認しておくと安心です。
仲間と一緒に乗り越える!グループ・ピアサポート
同じような悩みを持つ人たちが集まって話し合うグループカウンセリングやピアサポートは、個別カウンセリングよりも低価格または無料で参加できることが多いです。精神保健福祉センターや自助グループが主催しており、心理師がファシリテーターとして参加する場合もあります。自分だけではないと感じられることで孤独感が和らぎ、他の参加者の経験から学ぶこともできます。
会社員なら必見!職場の相談窓口・EAP
勤務先の会社が従業員支援プログラム(EAP)を導入している場合、無料または会社負担でカウンセリングを受けられることがあります。EAPは、従業員のメンタルヘルス支援を目的としたサービスで、外部の専門機関と契約して提供されています。
利用回数に制限がある場合もありますが、数回程度は無料で利用できることが多いです。会社の人事部門や総務部門に問い合わせて、利用できるサービスがあるか確認してみましょう。利用したことが会社に知られることはなく、秘密は守られます。
無料でカウンセリングを受けられる公的機関
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、各都道府県や政令指定都市が設置している公的機関で、心の健康に関する相談を無料で受けることができます。うつ病や双極症(双極性障害)、適応反応症(適応障害)などの精神的な悩みについて、精神保健福祉士や心理師が対応します。電話相談や面接相談のほか、一部のセンターでは家族向けの教室やグループミーティングも開催しています。予約が必要な場合が多いので、まずはお住まいの地域のセンターに電話で問い合わせてみましょう。
保健所・保健センター
市区町村が運営する保健所や保健センターでも、心の健康に関する相談を無料で受け付けています。保健師や心理師が相談に応じ、必要に応じて医療機関や専門機関を紹介してくれます。精神保健福祉センターよりも身近な場所にあることが多く、気軽に利用しやすいのが特徴です。定期的に心の健康相談日を設けている自治体もあるので、ホームページや広報誌で確認してみてください。
子ども家庭支援センター・児童相談所
18歳未満の子どもやその家族が利用できる無料の相談機関です。子育ての悩み、学校でのトラブル、家庭内の問題など、子どもに関するあらゆる相談に応じています。心理師が在籍しており、子どもへのカウンセリングや心理検査、保護者へのアドバイスを受けることができます。虐待やいじめなど深刻な問題にも対応しており、必要に応じて関係機関と連携して支援を行います。匿名での相談も可能な場合があるので、まずは電話で問い合わせてみましょう。
教育センター・スクールカウンセラー
学校に通う子どもとその保護者は、スクールカウンセラーや教育センターの相談窓口を無料で利用できます。スクールカウンセラーは多くの学校に配置されており、学業や友人関係の悩み、不登校、発達の気がかりなどについて相談できます。また、各自治体の教育センターでは、より専門的な相談や心理検査を受けることも可能です。学校を通さずに直接教育センターに相談することもできるので、学校に知られたくない場合でも安心して利用できます。
青少年相談センター
おおむね30歳までの若者とその家族を対象とした相談機関です。就職や進路の悩み、人間関係、ひきこもりなど、青少年期特有の問題について相談できます。心理師や社会福祉士などの専門スタッフが対応し、必要に応じて他の支援機関につないでくれます。相談は無料で、電話相談、来所相談、メール相談などが用意されています。
知らなきゃ損!費用を抑える公的サポート制度
自立支援医療制度(精神通院医療)
精神科や心療内科で継続的に治療を受ける必要がある方は、自立支援医療制度を利用することで、医療費の自己負担を3割から1割に軽減できます。
うつ病、双極症(双極性障害)、統合失調症、不安症(不安障害)などの診断を受けている方が対象です。市区町村の障害福祉担当窓口に申請すると、受給者証が交付されます。
この制度を利用すれば、医療機関で保険適用で行われるカウンセリングや心理療法の費用も1割負担になり、月額の上限額も設定されるため、経済的負担が大幅に軽減される可能性があります。
生活保護を受給している場合の医療扶助
生活保護を受給している方は、医療扶助により医療費が全額公費負担となります。精神科や心療内科での診察、薬の処方、保険適用でのカウンセリングや心理療法なども対象です。生活保護受給者が医療機関を受診する際は、福祉事務所から発行される医療券が必要になるので、事前にケースワーカーに相談しましょう。医療扶助を利用すれば、お金の心配をせずに必要な治療やカウンセリングを受けることができます。
お金をかけずにできるセルフケア術
コラム法でネガティブ思考をリセット
コラム法は、認知行動療法で用いられる技法の一つで、自分の考え方のクセに気づき、柔軟な見方ができるように練習する方法です。紙やノートを用意し、列を作って「状況」「そのときの気持ちと強さ」「そのとき頭に浮かんだ考え」「別の見方」「気持ちの変化」を書き出していきます。
例えば、友人からの返信が遅いという状況で「嫌われたに違いない」と考えて不安が強くなった場合、「忙しいだけかもしれない」「前は仲良くしてくれていた」といった別の見方を書き出すことで、不安が和らぐことがあります。このように、考え方のパターンを客観的に見る練習を繰り返すことで、ネガティブな思考に振り回されにくくなります。
マインドフルネス瞑想を取り入れる
マインドフルネス瞑想は、今この瞬間の体験に意識を向ける練習で、ストレスや不安を軽減する効果が研究で確認されています。特別な道具は必要なく、静かな場所で椅子に座り、目を閉じて呼吸に意識を向けるだけで始められます。1日5分から10分程度、呼吸のリズムに注意を向け、雑念が浮かんだら優しく呼吸に意識を戻す練習を続けます。無料のアプリや動画も多数公開されているので、ガイド音声を聞きながら行うこともできます。
ただし、マインドフルネス瞑想は補助的な手段として活用し、深刻な症状がある場合は心理師や医師に相談されることをおすすめします。
基本が大事!睡眠・運動・食事を整える
心の健康には、規則正しい生活リズムが大きく影響します。毎日同じ時刻に起床して太陽の光を浴びる、3食しっかり食べる、適度な運動を取り入れる、十分な睡眠をとる、といった基本的な生活習慣を整えるだけでも、気分の安定につながります。
特に睡眠不足は気分の落ち込みや不安を悪化させることがあるため、睡眠時間をちゃんと確保することを心がけましょう。これらの生活習慣の改善は、カウンセリングと並行して行うことで、より効果が高まります。
あなたの状況に合わせた相談先ガイド
職場のストレスで悩んでいる方へ
仕事のストレスや職場の人間関係で悩んでいる方は、まず勤務先のEAPや産業医、保健師に相談してみましょう。退職した方や失業中の方は、ハローワークの相談窓口で心理師による相談を受けられる場合があります。精神保健福祉センターでも、職場のストレスに関する相談に対応しています。
ひきこもり・若者の方が利用できる支援
ひきこもりや社会参加に不安がある若者は、地域若者サポートステーション(サポステ)や、ひきこもり地域支援センターを利用できます。これらの機関では、心理師によるカウンセリングのほか、社会参加に向けた段階的な支援プログラムを無料または低価格で提供しています。家族だけで悩まず、まずは電話で相談してみることをおすすめします。
お子様の悩みはここに相談
18歳未満の子ども本人や保護者の方は、まず児童相談所や子ども家庭支援センターに相談することをおすすめします。学校に関する悩みであれば、スクールカウンセラーや教育センターも利用できます。
子どもの心のケアには早期対応が重要なので、一人で抱え込まずに相談してください。
まとめ
カウンセリングを受けたいけれどお金がないという状況でも、諦める必要はありません。精神保健福祉センターや保健所などの公的機関では無料で相談できますし、大学附属の心理相談室やNPO法人では低価格でサービスを受けられます。
名古屋市にお住まいの方は、初回カウンセリングが無料の当センター(ここケアセンター)で、公認心理師による専門的な支援を試してみることもできます。また、障害福祉サービス受給者証をお持ちの方は、当センターで低価格での継続的なカウンセリング利用が可能です。受給者証をお持ちでない方もお気軽に一度ご相談ください。
自立支援医療制度を利用すれば、医療機関での保険適用でのカウンセリング費用を大幅に軽減できます。セルフケアの方法も、コラム法やマインドフルネス瞑想など、お金をかけずに実践できるものがあります。
大切なのは、一人で抱え込まず、利用できる制度やサービスを積極的に活用することです。まずは無料の公的機関や初回無料カウンセリングに相談し、自分の状況に合った支援につながることから始めてみてください。経済的な理由でためらっていた方も、この記事で紹介した方法を参考に、心のケアへの第一歩を踏み出していただければと思います。専門家のサポートを受けながら、少しずつ前に進んでいきましょう。
引用元・参考文献リスト
- 厚生労働省「こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~ 身近にある地域の相談窓口」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/window_01.html - 国立精神・神経医療研究センター「相談しあう・支えあう」
https://kokoro.ncnp.go.jp/support_consult.php - 厚生労働省「自立支援医療制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html - 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001507767.pdf - こども家庭庁「関連サービスの相談窓口」
https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/soudan-madoguchi - 厚生労働省「第1章 児童相談所の概要」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv11/01-01.html - 厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/01.pdf - 内閣府男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援情報」
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/index.html - 内閣府「DV相談プラス」
https://soudanplus.jp/


