あいち保健管理センター

Columnコラム

双極症の治療のゴールとは?

双極症の治療のゴールとは?

双極症(双極性障害)は、躁状態とうつ状態が周期的に現れる精神疾患であり、治療には長期的な視点が求められます。治療の目的は、単に症状を抑えることだけではなく、安定した日常生活を送れるようにすることです。今回は、双極症の治療のゴールについて考えてみましょう。

1. 症状の安定化

第一のゴールは、躁状態やうつ状態の症状を安定させることです。気分の急激な変動を抑え、日常生活における困難を減らすことが治療の基盤となります。

躁状態の管理

過度な興奮、衝動的な行動、睡眠不足といった症状をやわらげ、社会的なトラブルや身体的な負担を防ぐことが重要です。

うつ状態の改善

抑うつ気分や無気力感を軽減し、日常の活動に復帰できる状態を目指します。

症状の安定化においては、お薬による治療が躁状態やうつ状態のコントロールに効果的であるとされています。

2. 再発の予防

双極症は、再発しやすい疾患です。そのため、治療のゴールの一つは、躁状態やうつ状態の再発を防ぎ、症状が安定している期間を延ばすことです。

維持療法の重要性

治療を継続することで、次の気分の波を予防することにつながります。お薬による治療を継続することが再発予防に効果的です。

生活リズムの安定化

規則的な睡眠や食事の習慣を保つことが、再発予防に役立つとされています。睡眠ー覚醒サイクルの乱れが再発の引き金になることがあるため、生活習慣の管理が重要です。

3. 生活機能の回復

双極症の治療では、患者さんが社会的・職業的な機能を取り戻し、充実した生活を送れるようになることを目指します。

職場や学校への復帰

症状が安定した後、仕事や学業に復帰することが治療の一環とされます。リワークプログラムや職業リハビリテーションが、社会復帰を支援するための有効な手段とされています。

対人関係の改善

家族や友人との関係をととのえ、孤立を防ぐことも治療の重要なゴールです。家族教育プログラムは、患者さんとそのご家族が病気についての理解を深め、対人関係のストレスを軽減する効果があります。

4. 患者の自己管理能力の向上

治療のゴールの一つとして、自分の症状や治療について理解し、自己管理能力を高めることが挙げられます。これにより、長期的な症状のコントロールができるようになります。

病気の理解を深める

患者教育プログラムを通じて、病気の仕組みや治療法について学ぶことで、自分の症状をよりよく理解できるようになります。

きっかけへの対応法を学ぶ

ストレスや睡眠不足など、自分の症状を悪化させる要因を特定し、それらに対応する方法を学ぶことが重要です。

5. 長期的な治療計画の構築

双極症は長期間にわたる治療が必要な病気です。そのため、短期的な目標だけでなく、長期的な治療計画を立てることが不可欠です。

薬物療法の継続

症状が改善しても、自己判断で薬を中止せず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。

定期的な通院

定期的に医師と相談し、治療計画を見直すことで、病状の安定を保ちやすくなります。

双極症の治療ゴールは個々に異なる

双極症の治療ゴールは、患者さん一人ひとりの状況や生活環境によって異なります。最終的には、自分の目標を達成し、充実した日々を送るための支援を行うことが治療の目的です。

もし双極症の治療について悩んでいる場合は、医師や専門家に相談し、現状に合った治療計画を立ててもらうことをおすすめします。治療のゴールを共有し、安心して生活を送るためのサポートを受けることが推奨されます。

双極症の治療は、症状の管理だけでなく、患者さんが社会的に安定した生活を送れるようにすることを目指しています。一歩ずつ治療に取り組み、自分に合った方法で生活を整えていきましょう。


関連記事

ページのトップへ