Columnコラム

「なんかしんどい」は気のせいじゃない。春に自律神経が崩れやすい3つの理由

「なんかしんどい」は気のせいじゃない。春に自律神経が崩れやすい3つの理由

「朝から頭が重い」「天気が崩れると気分も落ちる」「疲れているのに眠れない」──。

そんな感覚を、「気合いが足りないせいだ」と自分を責めていませんか?

春は、心身が揺らぎやすい季節です。その背景にはいくつかの要因が重なっている可能性があります。気圧や寒暖差といった気候の変化、日照時間の変動、そして新年度の環境変化などが、人によってさまざまな形で影響しているとされています。今回はその理由を順番に説明します。

春の不調に関わる「見えない負荷」

気圧・日照時間・寒暖差など、気候の変化が体に影響することがある

春は、低気圧と高気圧が数日おきに入れ替わり、気温も日によって大きく変わります。こうした気候の変化が自律神経のバランスに影響することは、さまざまな研究で示唆されています。※1

ただし、その影響は人によって大きく異なります。気圧の変化については、動物実験から「内耳の前庭器官(平衡感覚をつかさどる部位)が気圧の変動を感知し、脳や自律神経に信号を伝える可能性がある」ことが示されています。※2 ただしこれはマウスを用いた研究から示唆されたものであり、人間においても同様かどうかはまだ研究段階です。気圧の影響を強く感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいます。 また、春は冬に比べて日照時間が伸びます。日照時間の変化は、気分や睡眠リズムに関わるホルモン(セロトニンやメラトニン)の分泌に影響するとされており、こうした変化も自律神経の乱れに関与している可能性があります。ただし、いずれも現時点では仮説を含むです。 「天気が崩れると体調も崩れる気がする」という感覚を持つ方は少なくないようです。ただし原因を一つに断定することは難しく、体が変化に反応している可能性のひとつとして参考にしていただければと思います。

寒暖差が自律神経を「疲れさせ」、消耗を招く

春は1日の中で気温が10℃以上変わることがあります。この寒暖差に対応するために、自律神経は体温を一定に保とうと常に働き続けます。

これを毎日くり返すことで起こるのが「寒暖差疲労」です。疲労感・冷え・頭痛・胃腸の不調などが出やすくなります。※3「しっかり寝ているのに疲れが取れない」という感覚は、このサインかもしれません。

新年度のストレスは、時間差で表面に出てくる

3〜4月は転職・異動・引越しなど、環境が大きく変わる時期です。新しい環境に慣れようとして、緊張が続きやすくなります。この緊張が、自律神経の交感神経を慢性的に刺激しやすくなると考えられています。

ところが、4月は緊張感でなんとか乗り越えられることが多い。問題はその後です。ゴールデンウィークを境に張り詰めていたものが一気に緩み、疲弊が表面に出てくることがあります。これが「五月病」と呼ばれる状態のひとつの背景とされています。

「五月病」は気合いの問題ではない

「五月病」は正式な病名ではありません。医学的には、適応反応症(適応障害)またはうつ病と診断される可能性がある状態です。大阪府医師会も、五月病の背景に適応障害が多いことを示しており、放置することで症状が深刻化する場合があると注意を促しています。※4

以下の状態が2週間以上続いているなら、心身が限界に近づいているサインかもしれません。

朝、布団から出られないほど体が重い。日中ぼんやりして集中できない。理由なく涙が出る、または気分が沈んだまま戻らない。食欲が落ちた、または眠れない日が続く。

責任感が強く、周囲に気を使いやすい人ほど、この変化に気づくのが遅れがちです。必ずしも怠けているわけではありません。

今すぐできる3つのアプローチ

低気圧の日は「省エネモード」にする

天気予報や気圧アプリで天気の変わり目を確認し、その日は予定を減らして体を休める準備をしましょう。「しんどくなりやすい日」をあらかじめ知っておくことで、気持ちが楽になることもあります。

朝の光で体内時計をリセットする

起きたらすぐカーテンを開けて光を浴びましょう。これだけで体内時計が整い、自律神経の切り替えがスムーズになります。朝の光浴びは睡眠リズムを整えるうえで重要とされています。※5 朝食も、難しければ温かい飲み物だけで十分です。

夜は湯船につかって神経をゆるめる

就寝1〜2時間前に、38〜40度のぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。副交感神経(リラックスモード)が優位になり、眠りにつきやすくなります。寒暖差で疲れた自律神経を、1日の終わりにリセットするイメージです。

セルフケアで追いつかないときは、専門家へ

春の自律神経の乱れは、適切なケアで回復できることが多いです。ただし、「やれることはやっているのに回復しない」「毎年この時期になるとしんどくなる」という場合は、ひとりで抱え込まずに専門家に相談してください。

私たちここケアセンターでは、公認心理師によるカウンセリングを通じて、心身の状態を一緒に整理するサポートをしています。認知行動療法を中心に、生活リズムの立て直しや不安への向き合い方を一緒に考えます。

「まず自分の状態を確かめたい」という段階でも大丈夫です。初回カウンセリングは無料です。医療機関への通院と並行した利用も可能です。あなたのペースに合わせて、一緒に歩んでいきます。

春の不調は、体と心が変化に一生懸命対応しようとしているサインです。「気合いが足りない」のではなく、そうなりやすい仕組みがあります。まずそれを知るだけで、自分を責める気持ちが少し和らぐかもしれません。

引用元・参考文献

  1. 自律神経失調症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
    https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-082
  2. 内耳が気圧変化を感じ取ることを発見、気象病や天気痛に影響か|大学ジャーナルオンライン(中部大学・佐藤純教授グループの研究紹介記事)
    https://univ-journal.jp/24888/
    原著論文:Sato J, et al. “Lowering barometric pressure induces neuronal activation in the superior vestibular nucleus in mice.” PLOS ONE, 2019.
    https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0211297
  3. 春の不調に関係がある”寒暖差疲労”とは|特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
    https://www.japa.org/tips/temperature_difference_fatigue/
  4. 五月病|げんき情報|大阪府医師会(五月病の医学的位置づけ・適応障害との関係)
    https://www.osaka.med.or.jp/citizen/tv85.html
  5. 健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html

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