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うつ病と完璧主義:高い目標が心に与える影響

うつ病と完璧主義:高い目標が心に与える影響

完璧主義とは、物事を完璧にやり遂げたいという強い願望や、失敗を避けたいという気持ちを抱く性格特性のことを指します。このような姿勢は、成果を上げるうえでプラスに働くこともありますが、一方でストレスを抱え込みやすく、心の健康に悪影響を与えることもあります。

特に、完璧主義と関連してうつ病のリスクが高まるケースがあることも知られています。今回は、うつ病と完璧主義の関係、そしてその対策について考えてみましょう。

完璧主義がうつ病のリスクを高める理由

完璧主義の人は、以下のような傾向がうつ病の引き金になることがあります。

自己評価が厳しすぎる

完璧主義の人は、自分に対して非常に高い基準を設けがちです。その基準を満たせなかった場合、自分を強く責めたり、「自分には価値がない」と感じたりすることがあります。このような自己否定感が長期間続くと、うつ病の発症リスクが高まります。

失敗を恐れる

小さなミスや失敗でも、大きなストレスを感じてしまうのも完璧主義の特徴です。「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら周囲にどう思われるだろう」といった不安が頭を離れず、心が疲弊してしまいます。

ストレスをため込みやすい

完璧を追求する過程で、常に緊張感を抱き、プレッシャーにさらされることが多くなります。このストレスが長期間蓄積すると、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、うつ病につながることがあります。

完璧主義とうつ病の悪循環

完璧主義とうつ病の関係は、次のような悪循環を引き起こすことがあります。

ミスや失敗に対する過剰な反応

小さな失敗が大きな挫折感を生み、自己否定感が強まります。

高すぎる目標設定

達成できないほど高い目標を立て、それが達成できないことでさらなるストレスを生みます。

「自分は頑張りが足りない」という思い込み

結果が伴わないと、じぶんの努力不足を責める思考に陥ることもあります。

このようなサイクルが続くと、心がさらに疲弊し、さらなる悪循環におちいる場合もあります。

完璧主義とうまく付き合うための対策

完璧主義を変える必要はありませんが、その影響を軽減する方法を取り入れることで、心の負担を減らしやすくなります。

目標を現実的に設定する

すべてを完璧にこなすことを目指すのではなく、「8割達成できればOK」といった基準を取り入れると、プレッシャーが軽減されます。自分に対する期待値を少し下げることで、達成感を得やすくなります。

失敗を肯定的に捉える練習をする

失敗は成長の一部であると捉える習慣をつけましょう。「失敗は学びの機会」と考え、次の挑戦に活かす思考に切り替えることで、ストレスを減らすことができます。

小さな成功を積み重ねる

大きな目標を達成しようとするのではなく、小さなタスクを一つ一つ達成していきましょう。「今日はここまでできた」と自分に伝えてあげることが大切です。

完璧ではなく「十分」を目指す

何事も「完璧」を求めるのではなく、「これで十分」と自分に言い聞かせることで、負担が軽減されます。「今の自分で十分だ」と受け入れることも、心の健康を保つためには重要です。

サポートを活用する

家族や友人、同僚に相談し、自分が抱えるプレッシャーを共有しましょう。また、必要に応じてカウンセリングを受け、専門家の助けを借りることも有効かもしれません。

完璧主義とうつ病を予防するポイント

以下のような生活習慣を取り入れることで、完璧主義がうつ病につながるリスクを軽減できます。

リラックスする時間を作る

趣味や軽い運動などで心を落ち着ける時間を設けましょう。

バランスの取れた生活を心がける

規則正しい食事や睡眠、運動を日々の習慣に取り入れることで、心身の健康を保ちます。

自分を肯定する習慣を持つ

「今日はこれができた」と、自分の努力を肯定する習慣をつけることが、自己評価の向上に役立ちます。

当てはまるものがあったら

もし、完璧主義の傾向があると感じたら、目標を緩やかにし、失敗を受け入れる姿勢を持つことで、心に余裕が生まれます。また、ストレスが強くなったときには、周囲に頼ることを恐れず、自分の気持ちを共有することが大切かもしれませんよ。

完璧主義は悪いことではありませんが、その特性が心に負担をかけないよう、バランスを取ることが大切です。少しずつ自分のペースで取り組み、心の健康を守りながら目標を達成する方法を見つけていきましょう。


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