「また同じミスをしてしまった」「どうして自分ばかりこんなことになるんだろう」。仕事でミスが続くと、自分を責めてしまい、つらい気持ちになりますよね。前職での失敗を思い出して、また同じことを繰り返すのではないかと不安になる方もいるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。ミスが続くのは、決してあなたがダメな人間だからではありません。そこには多くの場合、何らかの理由があります。そして、その理由を知ることで、状況を変えていくことができるのです。
仕事でミスが続くとき、何が起きているのか
ミスが続くと、「自分には能力がない」「この仕事に向いていないのかもしれない」と考えてしまいがちです。しかし、実際にはさまざまな要因が重なっていることがほとんどです。
厚生労働省がまとめた「労働安全衛生調査※」によると、仕事の失敗や責任の発生などに強い不安やストレスを感じている人の割合は、2023年には約40パーセントに達しています。つまり、働く人の5人に2人が、あなたと同じような悩みを抱えているということです。
※労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html
ミスが続く背景には、心身の状態、環境、仕事の進め方、自分の特性など、複数の要因が絡み合っています。まずは「自分だけが特別にダメなわけではない」ということを知ってください。
仕事でミスが続く主な原因を知ろう
ミスが続く原因を知ることは、対策を立てる第一歩です。ここでは、特に多く見られる4つの原因について見ていきましょう。
心と体が疲れているサイン
例えばこんなことで悩んでいませんか?
- 睡眠不足が続いている
- 寝ても疲れが抜けない
このような心身の疲労は、集中力や判断力を低下させ、ミスを引き起こす大きな要因となります。
風邪などの体調不良があるときはもちろん、慢性的な疲労がたまっている状態でも、脳の働きが鈍くなってしまいます。頭がぼんやりする、いつもより考えがまとまらないと感じるなら、それは体からのSOSかもしれません。
また、ストレスがたまっている状態では、いつもならできることができなくなることもあります。気分が落ち込んでいる、やる気が出ない、眠れないといった症状が続いているなら、心の疲労も考えられます。
不安や緊張が強くなっている
「またミスをしたらどうしよう」という不安が頭から離れなくなると、かえってミスが増えてしまうことがあります。これは、不安が集中力を奪ってしまうためです。
前のミスを引きずっていると、新しい作業に取り組むときにも「失敗するかもしれない」という思いが先に立ってしまいます。すると、本来の作業に意識が向かず、結果としてミスにつながってしまうのです。
また、周囲の目が気になって緊張が強くなると、いつもの力が発揮できなくなることもあります。特に、前にミスをして注意を受けた経験があると、「また怒られるかもしれない」という思いから、余計に緊張してしまうこともあるでしょう。
業務量や環境が自分に合っていない
抱えている仕事の量が多すぎたり、締め切りが厳しすぎたりすると、一つひとつの作業に十分な注意を払えなくなります。デスク周りが整理されていない、必要な資料がすぐに見つからないといった環境も、ミスを誘発しやすくなります。
職場の人間関係がうまくいっていないときも、気持ちが仕事に向かわず、ミスが増えることがあります。上司に質問しにくい雰囲気がある、同僚とのコミュニケーションが取りづらいといった状況では、わからないことをそのままにしてしまい、結果としてミスにつながることもあります。
マルチタスクや特定の作業が苦手
人にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあります。たとえば、複数のことを同時に進めるマルチタスクが苦手な人もいれば、細かい確認作業が苦手な人もいます。
自分の苦手な部分と業務内容が合っていないと、どんなに頑張ってもミスが減らないということが起こります。これは努力が足りないわけではなく、単に向き不向きの問題です。
また、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった神経発達症(発達障害)の特性がある場合、特定の作業でミスが起きやすいことがあります。たとえば、注意が散りやすい、忘れ物が多い、細かい指示の理解が難しいといった特性です。
これらの特性は、適切な工夫やサポートを受けることで、大きく改善できることが多くあります。
ミスを減らすために今日からできること
原因がわかったところで、次は具体的な対策を考えていきましょう。すべてを一度に実践する必要はありません。できそうなことから、少しずつ取り入れてみてください。
やることの優先順位を明確にする
複数の仕事を抱えているときは、まずどれから手をつけるべきか整理しましょう。すべてを同時に進めようとすると、どれも中途半端になってしまいます。
朝の始業時や作業の切り替えのタイミングで、その日にやるべきことをリストアップし、重要度や締め切りの順に並べてみてください。一つずつ確実に終わらせていくイメージを持つことが大切です。優先順位がわからないときは、上司や先輩に相談しましょう。
メモとチェックリストを活用する
「覚えておけば大丈夫」と思っても、忙しくなったり別の作業が入ったりすると、つい忘れてしまうことがあります。記憶に頼らず、必ずメモを取る習慣をつけましょう。
指示を受けたとき、気づいたことがあったとき、すぐにメモを取る。そして、作業の前にそのメモを見返す。このシンプルな行動だけで、多くのミスを防ぐことができます。
また、よく行う作業については、チェックリストを作っておくのも効果的です。「この作業をするときは、この順番で、この項目を確認する」というリストがあれば、抜け漏れを防げます。
作業環境を整える
デスク周りを整理整頓することも、ミスを減らすうえで大切です。必要な資料や道具がすぐに取り出せる状態にしておくと、探す時間がなくなり、集中力も保ちやすくなります。集中できる環境を作ることも意識してみましょう。
休息と睡眠を大切にする
疲れているときにどんなに頑張っても、効率は上がりません。睡眠時間をしっかり確保することは、仕事のパフォーマンスを維持するうえで欠かせません。寝不足が続いているなら、少し早めに寝る時間を確保してみましょう。質の良い睡眠を取ることで、翌日の集中力が大きく変わります。
一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用しよう
ここまで、自分でできる対策についてお伝えしてきました。でも、一人で頑張り続けるのはとてもしんどいことです。そして、自分だけでは解決が難しいこともあります。
そんなときは「自分の努力だけで何とかしよう」と抱え込まず、専門家の力を借りることを考えてみてください。当センターでは公認心理師がカウンセリングをし、一人ひとりの状況に合わせたサポートを行っています。
心理師によるカウンセリングでできること
カウンセリングでは、まずあなたの今の状況や悩みをじっくりお聞きします。なぜミスが続いているのか、何がストレスになっているのかを一緒に整理し、その問題に対してどのようなアプローチができるか考えていきます。
また、必要に応じて、医療機関への受診をおすすめすることもあります。うつ病や適応反応症(適応障害)、神経発達症といった状態が背景にある場合は、適切な医療的サポートを受けることが回復への近道となります。
認知行動療法で考え方のクセに気づく
私たちには、出来事に対してふと浮かんでくる「考え方のクセ」のようなものがあります。 たとえば、仕事でミスをした瞬間に「自分はダメな人間だ」「もう取り返しがつかない」といった考えが浮かぶことはないでしょうか。
しかし、その考えは必ずしも事実とは限りません。認知行動療法のアプローチでは、こうした自分の考え方のパターン(クセ)に気づき、物事をもう少し柔軟に捉えられるように練習していきます。
「ミスをした」という事実は変えられませんが、それをどう受け止めるかは変えることができます。「誰でもミスはする。大切なのは同じミスを繰り返さないこと」といった建設的な視点を持てるようになると、気持ちの立て直しもスムーズになり、次の行動へと踏み出しやすくなります。
自分に合った働き方を一緒に考える
ミスが続く背景に、仕事内容と自分の特性のミスマッチがある場合は、どのような働き方が合っているのかを一緒に考えていきます。
たとえば、マルチタスクが苦手なら、一つずつ集中して取り組める業務を選ぶ。細かい確認作業が苦手なら、チェックリストを活用したり、ダブルチェックの仕組みを取り入れたりする。このように、自分の特性を理解したうえで、それに合わせた工夫を考えていくのです。
また、復職や再就職を目指す場合は、どのような職場環境が自分に合っているのか、面接でどのように自分の特性を説明すればよいのかといったことも、具体的にサポートしています。
当センターでは、初回カウンセリングを無料で行っていますので、まずは気軽に相談してみてください。カウンセリングのみの利用も可能ですし、対面でじっくりとお話を伺いながら、あなたに合ったサポートを一緒に考えていきます。
まとめ
仕事でミスが続くと、つい自分を責めてしまいがちですが、多くの場合、そこには何らかの背景や要因が隠れているものです。心身の疲労、不安や緊張、環境のミスマッチ、自分の特性など、さまざまな要因が絡み合っていることがほとんどです。
大切なのは、一人で抱え込まずに、原因を知り、できることから対策を始めること。そして、必要なときには専門家のサポートを受けることです。
ここケアセンターでは、公認心理師による認知行動療法を中心とした心理支援を提供しています。
あなたは一人ではありません。まずは私たちに相談してみませんか。
引用元・参考文献
- 労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html - うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/01.pdf


