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Columnコラム

うつ症状とアクセプタンス:受け入れることが回復への第一歩

うつ症状とアクセプタンス:受け入れることが回復への第一歩

うつ病は、抑うつ気分、意欲の低下、否定的な思考の増加など、日常生活に大きな影響を与える精神疾患です。多くの人が「この気分をどうにかして変えなければならない」「ポジティブにならなければ」と考えますが、そうした努力が逆に症状を悪化させることもあります。

近年、アクセプタンスという考え方が、うつ症状とうまく付き合う方法として有効であることが示されています。

アクセプタンスとは、「無理に気分を変えようとせず、ありのままの感情や状態を受け入れる」ことを指します。今回は、うつ症状に対するアクセプタンスの意義と、具体的な実践方法について解説します。

1. うつ症状とアクセプタンスの関係

アクセプタンスは、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)を中心とした心理療法で重要な概念です。この考え方は、「うつ症状そのものを否定せず、それがあることを認める」ことから始まります。

うつ症状を否定することが悪循環を生む

うつ状態のとき、「この気持ちをなくさなければ」「前向きにならなければ」と思うほど、気分の悪さが際立ち、自己批判が強まることがあります。

ネガティブな感情を排除しようとすると、それに意識が向きすぎてしまい、逆に抑うつ感が深まる場合があります。

アクセプタンスの視点

「今の自分は落ち込んでいる」「不安を感じている」とそのまま認めることで、感情に振り回されることなく、それを客観的に観察できるようになります。

うつ症状があること自体を「ダメなこと」と決めつけず、現実の一部として受け入れることが、回復の第一歩となります。

2. うつ症状を受け入れることの効果

① 感情に対する耐性が高まる

不快な感情を無理に排除しようとするのではなく、「そこにあるもの」として扱うことで、それに対する過剰な反応が減ります。

例:「また気分が落ち込んでいる…ダメだ」と考えるのではなく、「今は落ち込んでいるな」と観察するだけにする。

これにより、感情が自然と変化していくのを待つことができるようになります。

② 自己批判を減らす

うつ症状の一因として、「自分を責める思考」があります。しかし、「うつ症状があること=自分のせいではない」と認識することで、自己批判を和らげることができます。

例:「こんなにやる気がない自分はダメだ」ではなく、「今日はエネルギーが少ない日だな」と受け止める。

これにより、自分に対する厳しい評価を和らげることができます。

③ 行動を継続しやすくなる

アクセプタンスの考え方を取り入れると、「気分が良くなったら動く」のではなく、「気分が悪くてもできることを少しずつやる」ことができるようになります。

うつ症状があっても、「今できること」を見つけ、小さな行動を積み重ねることで、生活の質を徐々に回復させることができます。

まとめ:アクセプタンスはうつ症状との付き合い方を変える

うつ症状を否定せず、ありのまま受け入れることは、回復の第一歩です。アクセプタンスの視点を持つことで、感情に振り回されることが減り、日々の生活の中でできることが増えていきます。

「この感情を変えなければならない」と考えるのではなく、「今の自分の状態を、そのまま受け止める」ことから始めてみましょう。そして、小さな行動を積み重ねながら、自分に合った方法で回復の道を進んでいきましょう。

当てはまるものがあったら

もし、うつ症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。アクセプタンスの視点を取り入れることで、少しずつ気分との付き合い方を変えることができます。

うつ症状と向き合うには、焦らず、一歩ずつ進んでいくことが大切です。受け入れることが、回復のための第一歩になるかもしれません。


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