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仕事に行きたくない気持ちとの向き合い方

仕事に行きたくない気持ちとの向き合い方

朝、目が覚めた瞬間に「今日も仕事に行きたくない」という気持ちが湧き上がってくる。そんな経験はありませんか。実は、多くの働く人が同じような気持ちを抱えています。厚生労働省の調査※によれば、働く人の約8割が仕事や職業生活に強いストレスを感じているという結果が出ています。

※令和5年労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50b.html

つまり、「仕事に行きたくない」と感じることは決して特別なことではなく、誰にでも起こりうる自然な気持ちなのです。大切なのは、その気持ちを否定せず、まずは受け止めること。そして、何が自分をそう感じさせているのか、少しずつ整理していくことです。

この記事では、仕事に行きたくないと感じる主な理由と、今すぐできる気持ちの整理法、そして専門家のサポートを受けるメリットについてお伝えします。

「行きたくない」気持ちの裏側にあるもの

「仕事に行きたくない」という気持ちには、必ず何らかの理由があります。その理由は人それぞれ異なりますが、主なものを知ることで、自分の状況を整理する手がかりになるかもしれません。

人間関係がつらいとき

人間関係の悩みは、仕事に行きたくないと感じる大きな要因のひとつです。上司との相性が合わない、同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、ハラスメントを受けているといった状況は、毎日職場に通うことを苦痛にします。

特に、相手の顔色をうかがいながら仕事をしなければならない環境や、自分の意見を言いづらい雰囲気は、大きな心理的負担となります。「また今日も何か言われるのではないか」という不安が、朝起きた瞬間から始まってしまうのです。

仕事量が多すぎて限界を感じている

業務量が多すぎて終わりが見えない、残業や休日出勤が続いている、責任の重い仕事を任されてプレッシャーを感じているといった状況も、「行きたくない」という気持ちにつながります。

マルチタスクが苦手な方にとっては、複数の業務を同時に進めることそのものが大きな負担になります。どれから手をつけていいかわからず、頭の中が混乱してしまう。そんな状態が続けば、仕事に向かう足取りが重くなるのも無理はありません。

厚生労働省の調査でも、「仕事の失敗や責任の発生」が仕事中に感じるストレスの上位に挙げられています。

※令和5年労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50b.html

やりがいを感じられない仕事内容

やりがいを感じられない仕事、興味を持てない業務内容、自分の強みが活かせない職種。こうした「仕事内容のミスマッチ」も、働く意欲を低下させる大きな要因です。

毎日同じ作業の繰り返しで成長を実感できない、あるいは逆に求められるレベルが高すぎて常に失敗への恐れを感じているといった状況では、「何のために働いているのか」という疑問が湧いてきます。

心や体が発しているSOSかもしれない

明確な理由が見当たらないのに、どうしても仕事に行きたくないという場合、それは心身の不調のサインかもしれません。うつ状態や適応反応症(適応障害)の初期症状として、仕事への拒否感が現れることがあります。

慢性的な疲労感、不安や焦りが常にある、眠れない、食欲がない、朝起きられない。こうした症状が続いている場合は、心や体が「休息が必要です」というメッセージを送っている可能性があります。

気持ちを整理するための3つのステップ

「仕事に行きたくない」という気持ちを感じたとき、まず自分でできることがあります。完璧を目指す必要はありません。小さな一歩から始めてみましょう。

まずは思いを書き出してみる

頭の中でぐるぐると考えているだけでは、問題が整理できないことがあります。そんなときは、紙やスマートフォンのメモアプリに、思いつくまま書き出してみましょう。

書き出すときのコツは、きれいにまとめようとしないこと。「上司の○○さんが苦手」「業務量が多すぎる」「朝起きるのがつらい」など、思いついたことをそのまま言葉にしていきます。

文字にして可視化することで、漠然とした不安が具体的な問題として見えてきます。すると、「何がいちばんつらいのか」「何から解決していけばいいのか」が少しずつ明らかになっていくのです。

問題を切り分けてみる

「仕事に行きたくない」という気持ちは、しばしば「仕事のすべてが嫌だ」という感覚につながります。しかし実際には、すべてが嫌なわけではないことがほとんどです。

書き出した内容を見返してみると、「人間関係は問題だけど、仕事内容そのものは好きだ」とか、「上司とは合わないけど、同僚には恵まれている」といったことに気づくかもしれません。

問題を切り分けることで、「これは自分で工夫できそう」「これは誰かに相談したほうがいい」「これはすぐには変えられない」といった整理ができるようになります。

自分を責めない、休むことも選択肢

「仕事に行きたくない」と感じる自分を、「甘えている」「だらしない」と責めてしまう方がいます。しかし、その気持ちは決して甘えではありません。

冒頭でもお伝えしたとおり、働く人の約8割が強いストレスを感じているのです。つまり、あなただけではないということ。そして、そう感じるだけの理由があるということです。

完璧主義の方は特に、「休むこと」に罪悪感を抱きがちです。でも、心や体が限界を迎える前に立ち止まることは、決して逃げではありません。むしろ、自分自身を大切にするための大事な選択なのです。

有給休暇を取得することも、一時的に仕事から離れることも、あなたの権利です。「休む」という選択肢も、常に心の片隅に置いておきましょう。

ひとりで抱えこまないで、専門家のサポートという選択

ひとりで抱え込まず、専門家のサポートを受けることも大切な選択肢のひとつです。「まだそこまで深刻ではない」と思うかもしれませんが、早めに相談することで、状況の悪化を防げることもあります。

カウンセリングで気持ちが楽になる理由

公認心理師などの専門家によるカウンセリングでは、まず安心して話せる場が提供されます。友人や家族には話しづらいことも、専門家には打ち明けやすいと感じる方も多いです。

カウンセリングの方法のひとつに、認知行動療法というものがあります。これは、ものの考え方や受け取り方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にしたり行動をコントロールしたりする方法です。

たとえば、「失敗したら全部ダメだ」という極端な考え方が、実は「60点取れていても自分を認められない」という思考のクセになっているかもしれません。こうした考え方のパターンに気づき、より柔軟でバランスの取れた見方ができるよう、心理師が一緒に考えていきます。

厚生労働省の資料によれば、認知行動療法はうつ病や不安症などに対して効果が実証されており、薬物療法と比べて再発が少ないことも分かっています。

ここケアセンターでできること

ここケアセンターでは、公認心理師による認知行動療法を中心とした心理支援を提供しています。初回カウンセリングは無料ですので、「どんなところか試してみたい」という方も気軽にご相談いただけます。

カウンセリングのみの利用も可能です。「まずは自分の気持ちを整理したい」「職場での人間関係をどうしたらいいかわからない」といったご相談にも対応しています。

対面でのカウンセリングを基本としているため、じっくりと時間をかけて、あなたのペースでお話を伺うことができます。マルチタスクが苦手、コミュニケーションに不安があるといったお悩みについても、一緒に向き合いながら、あなたらしい働き方を探していきます。

まとめ

「仕事に行きたくない」という気持ちは、決して珍しいものではありません。大切なのは、その気持ちを否定せず、まず受け止めること。そして、何が自分をそう感じさせているのか、少しずつ整理していくことです。

ひとりで抱え込まず、専門家の力を借りることも選択肢のひとつです。カウンセリングという安心できる場で、自分の気持ちと向き合い、考え方のクセに気づき、より柔軟な見方を身につけていく。そのプロセスが、あなたの心を少しずつ楽にしていくかもしれません。

自分の特性を理解し、それに合った環境で働くことができれば、仕事はもっと楽になるはずです。そのための第一歩として、まずはご自身の気持ちに耳を傾けてみてください。必要であれば、いつでも専門家に相談することができます。あなたらしく働ける未来を、一緒に探していきましょう。

引用元・参考文献

  1. 令和5年労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50b.html
  2. うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)|厚生労働省(PDF)
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf
  3. 認知行動療法|e-ヘルスネット(厚生労働省)
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-044.html
  4. こころの耳|厚生労働省
    https://kokoro.mhlw.go.jp/

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